厚生労働省は、緊急的な少子化対策として、出産時に公的医療保険から支払われる出産育児一時金の額を現行から4万円増の42万円に引き上げる方針を固めた。2009年10月から2011年3月末までの暫定措置とし、2011年4月以降は出産費用への保険適用なども検討するとしている。
与党は、社会保障費抑制のために大企業の健保組合等に旧政管健保への国庫負担を肩代わりさせる特例法案について、廃案とする方針を固めた。肩代わり分約1,000億円は、2008年度第2次補正予算案で穴埋めする。
65歳以上の人が支払う介護保険料が、来年度から3年間、全国平均で月額約180円(約4%)引き上げられて月額約4,270円になる見通しであることが、厚生労働省の集計で明らかになった。介護報酬の引上げに伴う保険料の値上げ分の一部が公費で肩代わりされるため、過去の見直しと比較すると引上げ幅は小さくなっている。
厚生労働省は、後期高齢者医療制度における保険料の徴収方法について、原則として年金からの天引きとなっている現在の方式を改め、来年4月からは申請があれば誰でも口座振替で支払うことができるようにする方針を示した。また、65〜74歳の人が加入する国民健康保険の保険料についても同様の扱いにする考え。
厚生労働省は、後期高齢者医療制度における低所得者への軽減措置を反映させた後の保険料が全国平均で1人あたり年間約6万5,000円となり、軽減措置により約9%減少したと発表した。
政府・与党は、親が分娩費用を直接病院に支払わなくても公的負担で出産できる制度を導入する方針を固めた。現在は出産後に親に支給される「出産育児一時金」を、健康保険組合などが直接医療機関に支払うように仕組みを改める。来年の通常国会に関連法案を提出し、来夏以降に実施の予定。
2009年度の介護保険料について全国平均で1人あたり月150〜200円程度(3〜5%程度)の引き上げられる見通しが明らかになった。介護報酬の改定に伴い、本来であれば来年度から月300円程度上昇する計算だが、政府が示した追加経済対策で保険料の一部を肩代わりするため、引上げ幅が抑えられた。
保護者が国民健康保険の保険料を滞納しているために保険証を返還させられ、医療保険を利用できない中学生以下の子供が32,903人(1万8,240世帯)いることが、厚生労働省が行った調査で明らかになった。同省は、必要な医療が受けられないことがないよう、短期保険証(1カ月〜数カ月)の交付を要請する通知を全国の自治体に出した。
政府・与党は、介護労働者の待遇改善のため、2009年4月から介護報酬(介護事業者に支払われるサービスの公定価格)を3%引き上げることを決定し、「新総合経済対策」(追加経済対策)に盛り込んだ。プラス改定は2000年度の介護保険制度発足以来初となる。
厚生年金記録の改ざん問題に関し、社会保険事務所が不正の発覚を防ぐため、健康保険の書類を操作していた事例があることが、元職員の証言により明らかになった。中小企業が厚生年金から脱退すると、加入する政府管掌健康保険(現在は全国社会保険協会に移行)からも抜けることになるが、資格喪失が発覚しないよう工作していた。
厚生労働省は、後期高齢者医療制度や国民健康保険の加入者約1万8,000人から、各自治体の事務処理ミス(年金天引き中止処理の誤り)などにより、今月15日に保険料が誤徴収されると発表した。保険料の支払いを10月から口座振替に変更した人や年金収入が一定以下で天引き中止になったりした人などが対象。
今月1日に発足した「全国健康保険協会」(通称「協会けんぽ」)は、5県で合計1,025名に対して、事務処理ミスにより二重に保険料を請求していたことを明らかにした。10月以降分の保険料を前払いしていた人に10月分の納付書を送付してしまったもので、県別では宮城626名、長野211名、兵庫130名、岩手49名、愛知9名となっている。
今年4月にスタートした後期高齢者医療制度に関して、保険料の年金からの天引き開始が10月にずれ込んだ29の自治体では、天引きされなかった半年分の保険料を金融機関等で納付しなければならないが、周知が徹底されていないために未納が続出していることがわかった。多くの自治体では、加入者に督促状を送付して保険料納付を求めている。
政府のIT戦略本部は、妊娠届や母子手帳の交付申請、出産通知など、出産や育児に関する手続きについて、自治体の窓口に行かなくてもインターネットで可能にする仕組みの検討を開始した。2009年3月までに具体策をまとめ、2009年度には一部の地域でモデル事業を実施したい考え。
舛添厚生労働相直属の「高齢者医療制度に関する検討会」が初会合を開き、制度改善案を今後1年以内にまとめる方針を示した。厚労相は、(1)年齢による一律区分をやめる、(2)年金からの保険料天引きを強制しない、(3)世代間の反目を助長しない、との3原則を示している。