社会保険庁は、政府管掌健康保険の2007年度医療費収支が約1,577億円の赤字(5年ぶり)を計上する見通しであることを明らかにした。高齢化により医療費が膨らむ一方、賃金の伸び悩みによる保険収入が微増にとどまっていることによる影響。特定健診・特定保健指導での新たな負担増などにより、2008年度も1,700億円程度の赤字となる見込み。
厚生労働省は、2月の労働経済動向調査を発表し、今年の4月に大卒者を採用する企業の割合は文系(42%)・理系(39%)ともに前年を上回ったことが明らかになった。高卒者を採用する企業も前年比6ポイント増の43%と5年連続で増加するなど、短大卒者も含めすべての学歴について採用する企業の割合が増加した。
大阪労働局は、近畿大学が2007年1月から半年間にわたって事務職員の残業代不払い(総額約1億円)を続けていたとして、同大学と元人事部長を労働基準法違反容疑で書類送検した。不払いは元部長の独断によるものだったとされているが、同大学が2003年にも是正勧告を受けていることから刑事責任を問うべきだと判断し、法人にも罰則を科す両罰規定を適用したもの。
社会保険庁は、2008年度における政策目標を示し、国民年金保険料の納付率の目標を80%としていることがわかった。2007年度の目標も80%だったが、昨年末時点の実績は62.6%(前年度比1.6ポイント低下)にとどまっている。
新入社員の「質」について日本生命保険が企業に実施したアンケート結果が発表され、新入社員の質が「低下」していると感じている企業(42.6%)は「向上している」と感じている企業(42.5%)とほぼ同じ割合だった。しかし、従業員300人以下の中小企業では「低下」(44.2%)が「向上」(37.7%)を上回った。
社会保険庁は、2010年に「日本年金機構」が発足するのを機に、現在全国54カ所で年金相談・記録照会・受給手続等を行っている「年金相談センター」の業務の一部を各都道府県の社会保険労務士会に委託する方針を示した。一定要件を満たす社会保険労務士事務所を「街角の社会保険支援センター」として認定することも検討。役所組織のスリム化を図るとともに、窓口相談のサービス向上、事業主の利便性向上を目指す。
日本マクドナルドが店長を管理職として扱って残業代を支払っていない問題で、元店長の3人が残業代の支払いを求めて東京地裁へ提訴することが明らかになった。さらに別の元店長数人も訴訟を検討中で、同様の動きが広がれば約1,700人の店長を抱える同社の経営に大きく影響を与える可能性がある。
残業代不払いの疑いで是正勧告を受けて調査に乗り出していたスポーツ用品大手のミズノは、社員約2,000人に対する残業代の不払いが過去2年間で合計18億6,000万円あったと発表。同社では「労働時間改善委員会」を設置して勤務時間を適正に把握する体制を整えるほか、不払い分の残業代を3月の給与振込み時に一括で支払うとしている。
厚生労働省は、現在576カ所ある公共職業安定所(ハローワーク)のうち26カ所について、2008年度中に廃止する方針を明らかにした。内訳は安定所が8カ所、出張所・分室が18カ所で、職員の定員も減らす。また、16カ所の安定所を出張所に格下げする。すでに2005〜2007年度で32カ所を廃止している。
日雇い派遣労働者から「データ装備費」として長年にわたって違法な天引きを行っていた分の給料の返還を進めている日雇い派遣大手のグッドウィル・グループで、実際に返還されたのは対象者100万人中14万人(合計43億円のうち23億円)にとどまっていることが明らかとなった。同社は厚生労働省からの指導を受け、今後返還を徹底するとしている。
中小企業のうち48%がこれまでに弁護士を利用したことがないことが、日本弁護士連合会が全国の中小企業約3,200社を対象に実施したアンケート調査によりわかった。「相談で利用」が29%、「裁判などで利用」が23%だった。多くの企業は「報酬や得意分野がわかりやすければ活用する」と回答しており、中小企業での潜在需要がある実態も明らかとなった。
2006年度における年金や医療保険関連の事務処理のミスが1,061件(速報ベース)に上ったことが、民主党(厚生労働部門・総務部門合同会議)への社会保険庁による報告で明らかになった。うち147件はミスの詳細な内容が公表されなかった。
社会保険庁は、年金保険料を納付した証拠(領収書)のない人の年金記録の回復について、「年金記録確認第三者委員会」による審査が遅れているため、社会保険事務所で納付実績が推定されれば支給を認定する方針を固めた。同委員会での審査事例をまとめた審査マニュアルをもとに、相談者に年金記録の回復が認められる可能性の有無を助言し、判断が困難な場合は同委員会に送付するとしている。
野党4党(民主・共産・社民・国民新)は、4月からスタートする後期高齢者医療制度(75歳以上の被扶養者からの保険料徴収、70〜74歳の医療費の窓口負担の1割から2割への引上げ)の廃止法案を衆議院に提出した。同制度は2006年の通常国会で与党の賛成で成立したが、与党は負担増について半年〜1年凍結の方針を明らかにしている。
2007年における1世帯当たりの月間消費支出が26万1,526円(前年比1.2%増)となり、3年ぶりにプラスに転じたことが、総務省の家計調査によりわかった。定率減税の廃止などにより負担は増えたが、所得環境が改善したことに伴い個人消費が増えたものとみられる。