厚生労働省が退職者の企業年金減額を承認しなかったのは違法だとして、NTTグループ67社が国に不承認処分の取消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は「減額がやむを得ないほどの経営悪化はない」として請求を棄却。安易な減額を認めないとする初の司法判断を示した。減額に踏み切る会社が増える中、企業年金のあり方に影響を与えるとみられる。
マンションの住込み管理人だった夫婦が平日の朝晩や週末の賃金の支払いを求めた訴訟で、最高裁判所は「管理会社の指示を受けていたといえる」として、平日の早朝・深夜の残業代、土曜日の1人分の賃金、休日の実働時間の賃金について支払いを認める判断を示した。今後、同様の形式で勤務する住込み管理人の賃金算定に影響を与えるものとみられる。
厚生労働省が発表した2007年の高齢者雇用状況によると、2006年4月の改正高齢者雇用安定法の施行を受け、65歳以上の常用労働者は施行前の2005年比47%増の約39万人、60〜64歳は27%増の約100万人となった。同省では、同法についての対策が未実施の企業に対する指導をさらに進める方針。
内閣府は、65歳以上の高齢者に対する給付水準を維持すると2025年度には現役世代の1人当たりの負担額が現在よりも3割増となり、逆に、現役世代の負担水準を維持すると同年度には医療給付が2割強、介護は4割弱カットされるとする試算を明らかにした。今後、これらの試算をもとに社会保障と税のあり方について、経済財政諮問会議で議論を本格化する。
舛添厚生労働大臣は、約5000万件の該当者不明年金記録の名寄せ作業につき、検索プログラムの開発が順調に進んだ主力プログラムを11月より前倒し稼動することを明らかにした。記録の持ち主の検索開始が予定より1か月早まり、この結果、12月中旬にも、一部の年金加入者らに名寄せ結果の通知が届くものとみられる。
舛添厚生労働大臣は、参院予算委員会で年金記録漏れ問題に関し、2010年に年金機構ができると同時に年金記録データの完璧性を期すべく、3年以内に、年金記録の原簿となる紙台帳とコンピューター上のデータを照合する作業を完了させる考えを示した。政府が照合の期限を明示したのは初めて。
上司の暴言が自殺の引金になったとして労災認定を求めた訴訟の判決で、東京地裁は15日、暴言とうつ病発症・自殺との因果関係を認め、労災と認める判断を示した。パワハラによる自殺に労災を認めた判決は初めてで、パワハラを軽視してきた労働行政を是正した本判決には画期的意義があるとみられる。
厚生労働省は、政府が2011年度中の導入を目指す「社会保障カード」について概要を公表。同カードが、年金手帳・健康保険証・介護保険証などを統合したものになること、ICを搭載して自宅パソコンから年金記録やレセプトを閲覧することが可能になるものになること等を明らかにした。
加入義務があるにもかかわらず未加入のまま厚生年金保険料を支払っていない事業所が2007年3月末時点で9万7427事業所にのぼり、前年同期に比べ約1.5倍に増えていることが社会保険庁の調査でわかった。未加入だったが社保庁の説得に応じ加入した事業所数も1万883事業所あるが、新たに未加入と判明した事業所が増えたことで、未加入の全体数が増加した。
労働者派遣法で禁じられている警備業務に労働者を派遣していたとして、宮城県警は15日、大手人材派遣会社フルキャストと当時の営業担当社員を、同法違反(禁止業務派遣)の疑いで書類送検した。同県警によると、警備業務への派遣をめぐり派遣会社が摘発されるのは全国で初めて。
2006年社会生活基本調査結果(総務省統計局)によると、有業者の1日当たりの「仕事時間」は、5年前の前回調査と比べて男女とも増加し、男性7時間0分(12分増)、女性5時間0分(9分増)となった。過去20年間の推移をみると、男女とも一貫して減少が続いていたが、今回は増加に転じた。
与党は、企業が年金保険料を国に納付していなかった場合でも従業員に年金を支給するようにする特例法案を、議員立法で国会に提出する方針を示した。企業に保険料納付の2年の時効を適用せずに過去の未納分の任意納付を認め、企業が倒産している場合等は未納分を税金で補填するなどといった内容で、11月上旬にも法案提出の見込み。
舛添厚生労働大臣は、現在は60歳未満となっている国民年金基金の加入資格について、60〜64歳の国民年金の任意加入者にも拡大するよう検討することを明らかにした。また、掛金の最低額も現在の月額9,000円(20歳男性)から6,000円程度に引き下げることも併せて検討する。基金の加入者を増やすことにより年金受給額の水準を上げることがねらい。
社会保険庁は「年金記録漏れ問題」に関して、過去に納付された5000万件分の保険料の総額が2兆3,500億円程度に上るとの試算結果を明らかにした。150件のサンプルの平均額をもとに算出されたもので、「実態を正確に把握したものではない」と同庁は説明している。
政府・与党は、年金の最低保障機能を強化するため、低所得者層に対する「国民年金加算制度」の創設を検討していることを明らかにした。原案では年収160万円未満の単身世帯などを対象に国民年金の支給額を約25%引き上げるとしており、2009年度までに制度の運用開始を目指す。財源は税金でまかなう方針で、約9,000億円程度と試算されている。