確定拠出年金で、運用されないまま塩漬けにされている約8万人分(総額211億円)の年金資産のうち約2万人分について、加入者の連絡先が不明となっていることが明らかになった。転職時に必要な手続きをとらないまま引っ越し等で住所不明となるケースが多いとみられる。厚生労働省では、企業の説明や本人の理解の不十分さが主な原因として、資産の移行手続の周知を企業などに徹底するよう求める。
2006年度に労働基準監督署からサービス残業について是正指導を受け、未払い残業代を100万円以上支払った企業は1,679社(前年度比約1割増)となり、年度ごとの調査を開始した2003年度以来最多となったことが厚生労働省の発表によりわかった。業種別では製造業(430社)、商業(421社)が上位を占め、未払い残業代の総額は約227億1,400万円(前年度比約5億8,000万円減)だった。
厚生労働省は、国民年金保険料をクレジットカードでも納付できるように国民年金法の政令を改正することを明らかにした。納付方法の選択肢を増やして保険料を支払いやすくすることがねらいで、国の公金納付でクレジットカードの利用が認められるのは初めて。社会保険事務所での申込み受付けは2008年2月以降で、実際の納付は同年3月分の保険料からとなる見通し。
偽装請負に対する批判を受けて厚生労働省が指導を強化した2006年度において、3,477件の偽装請負関連の立入り調査を行っていたが、同年度に偽装請負関連で文書指導を行った件数は2,646件、指導率が76.1%に達することが同省の発表によりわかった。また、労働者派遣法違反に対する指導率も64.2%に上っており、規制緩和で労働者派遣が拡大したのに伴い、違法行為も横行しているものとみられる。
中小企業退職金共済制度が1959−2006年度に支払うべき退職金のうち、計49万2,251人分、約365億9,000万円の退職金が未払いとなっていることが明らかになった。同制度は、企業の掛金と国からの助成金を勤労者退職金共済機構が運用して退職者の請求に基づき退職金を支払う仕組み。未払い分の大半は本人が請求をし忘れたために発生したものとみられる。未払い分については5年で時効となるが、同機構は時効になった分の支払いにも応じる方針で、問合せ窓口を設けて対象者に申請を呼びかける。
時効により徴収不能となった国民年金の保険料が、2006年度は9,864億円にのぼることが、社会保険庁の調査でわかった。徴収できた保険料(1兆9,038億円)の約半分に相当する額が取立て不能になったということで、未納問題の深刻さが浮き彫りとなった。未納が与える年金財政への影響は少ないとみられるが、今後、無年金で生活保護に頼る人が増えることが懸念されている。
国民年金の全加入者が納めるべき保険料のうち、実際に納めた割合を示す実質納付率が、保険料の免除や納付猶予を受けた人も徴収対象者に加えた場合、2006年度は49.0%と5割を下回ることがわかった。民主党の要求に応じて社会保険庁が試算して明らかになったもの。保険料納付を免除されている人を計算の対象から除いた同年度の納付率は66.3%。
年金記録問題のけじめをつけるため社会保険庁が全職員と幹部OBらに今夏の賞与の一部自主返納・寄付を求めていた問題で、同庁は、対象者の84%に当たる計1万7,906人が応じ、返納額は約14億9,542万円になると発表した。返納分は全額、年金財政の国庫負担の一部に充てられる。
厚生労働省の「毎月勤労統計調査」により、8月分の労働者の賃金の平均を示す現金給与総額は28万3,236円(前年同月比0.1%増)で、9カ月ぶりに増加に転じたことがわかった。基本給は0.1%減だったが、残業代が1.2%増となったことが影響した。
舛添厚生労働大臣は、社会保険事務所の窓口での保険料徴収を廃止し、銀行振込みなどのオンライン支払いに統一する考えを示した。社会保険庁職員による年金保険料の横領問題を重くみたためで、「信用ならない」(舛添大臣)窓口職員を現金に触れさせないという強硬策を打ち出した。窓口徴収は、早ければ来年度から廃止される。
総務省が発表した労働力調査(速報)によると、8月の完全失業率は3.8%となり、昨年の9月以来11カ月ぶりに悪化したことがわかった。これまで求職活動をしていなかった若い女性が職探しを始めたものの現時点では就職できていないことが主因とみられるが、同省では雇用動向の改善傾向は続いていると判断している。
民間企業に勤める人が2006年中に得た平均給与は434万9,000円で、前年を1万9,000円下回ることが、国税庁の実態統計調査でわかった。サラリーマンの平均給与所得は9年連続で減少したことになる。また、同調査で、給与が1,000万円超の人の数と300万円以下の人の数が増えていることもわかり、給与所得の格差が拡大している。
これまで「6分割」と称されていた社会保険庁の廃止・解体計画が、「2分割」に改められる方針が明らかになった。舛添厚労相が、厚生労働省などに移管する業務も対象として数えていた分割数を「わかりにくくて不正確」と提唱したことによるもので、まずは年金業務(日本年金機構)と健康保険事業(全国健康保険協会)への分割であることから「2分割」とされることとなった。
「年金記録問題検証委員会」による最終報告について、発表は当初予定の9月末から10月中旬以降にずれ込む見通しが明らかになった。保険料の横領・着服事件などの新たな問題が浮上し、検証作業に時間がかかっているためで、同委員会では記録漏れ問題の原因や責任を追及するほか再発防止に向けて個別の横領・着服事件を調査、社会保険庁の組織や監査体制に問題がなかったかなどの検証も進める方針。
集配業務に従事するドライバーにサービス残業をさせていたとして、宅配便大手のヤマト運輸が大阪南労働基準監督署から労基法違反で是正勧告を受けていたことがわかった。出退勤を管理する携帯端末に記録された時間と給与計算に使う勤怠記録の労働時間に差があり、超勤時間が実際より短くなるケースがあったもの。同社は勧告に従い運転手約40人分の未払い分を確認して支給するとしている。