厚生労働省・社会保険庁は、企業が従業員に代わって年金記録統合の申請をできるよう制度を見直す方針を示した。申請は原則として従業員本人が社会保険事務所に出向いて行う(社会保険労務士の代行は可能)が、本人が捺印した「統合委任者リスト(仮称)」があれば企業の担当者がまとめて申請できるようにする。近く通達や通知を出すとしている。
日本郵政公社は、全国に約24,000ある郵便局の窓口で、国民年金保険料の過去の納付履歴を無料で発行するサービスを開始する方針を示し、今月19日付で全国の郵便局に通知を出した。履歴の照会を受けた後、全国に12ある貯金事務センターで保存しているデータを調べる。
社会保険庁は、同庁が1998年から2006年にかけて55歳以下の加入者で複数の年金記録を持っている可能性のある人(約1,818万人)に、基礎年金番号以外の年金手帳番号の有無を知らせる通知を出したが、2006年度末時点で約565万人から回答がないことを明らかにした。
社会保険庁は、昨年5月末時点で10万6,000事業所が厚生年金や政府管掌健康保険の保険料を滞納していることを、民主党の情報公開請求に応じて明らかにした。同庁では、繰り返し支払いを求め、悪質な企業に対しては財産を差し押さえる方針であることを示した。
社会保障特例法(社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律)が今月19日に衆議院本会議で成立。これにより、年金保険料の二重払いや掛け捨てなどを解消するために各国と社会保障協定を締結する際に個別に法律を定める必要がなくなる。今年度中に施行される。
政府・与党は、未納の国民年金保険料の事後納付を特例的に認める期限について、現行の「過去2年間分」から、一定期間を対象に「過去5〜10年間分」へ延長する検討に入った。早ければ秋の臨時国会での法整備を目指すとしている。
20歳以上の学生への国民年金加入義務付け後の1992年から1997年の基礎年金番号導入前の1996年の間に4年生大学を卒業して就職した社会人の大部分で、学生時代分の国民年金の加入記録が基礎年金番号へ統合されていないことがわかった。該当者は将来の年金額が減るため、社会保険事務所へ申請して手続きを行う必要がある。
厚生労働省・社会保険庁は、記録漏れが判明して記録が修正されたにもかかわらず、5年の時効により増額分を受け取れなかった人に対して、不足分を全額補償する通知を行う方針を示した。年金時効特例法案を受けたもので、同法案の成立後、数カ月以内に対象者に通知を行うとしている。対象は、25万人程度で補償額は約950億円に上るとみられる。
社会保険庁は、国民年金保険料の未納分の一括納付を認めた「特例納付制度」(1970〜80年に3回実施)の実態調査を開始。特例納付分が年金記録から漏れていると主張する加入者が相次いでいるためで、法的には認めていなかった市町村窓口での納付が記録漏れにつながっている可能性が指摘されている。
柳沢厚生労働大臣は、「年金時効撤廃特例法案」で救済される、従来、記録漏れが判明しても5年の時効により受け取ることができなかった過去の年金の不足分について、今年の8〜9月頃から一時金としての支給を開始する方針であることを明らかにした。厚生労働省の試算では約25万人が対象となり、年金額の総額は950億円に上るとされる。
年金記録漏れの原因を解明し、歴代の厚生労働大臣・社保庁長官らの責任を検証する「年金記録問題検証委員会」の初会合が開かれ、1カ月以内に中間報告、今秋をめどに最終報告をまとめたい考えを示した。同委員会は安倍首相の指示で総務省に設置されたもので、メンバーは松尾邦弘前検事総長(座長)、金田修東京都社会保険労務士会会長ら7名。
社会保険庁が設けている年金に関する電話相談件数が、記録相談専用のフリーダイヤル(0120-657830)を開始した今月11日からの3日間で115万件を超えたことがわかった。実際に電話がつながったのは4.5%以下で、非常につながりにくい状況となっている。
政府は、領収書などの証拠がない場合の年金支給の可否を判断する第三者機関(社会保険労務士、税理士、弁護士らで構成)について、全都道府県にある総務省の出先機関に7月をめどに設置する方針を固めた。本部機能を総務省に設置して一定の審査基準を作成し、全国で統一的な判断を示せるようにする。また、菅総務大臣は同委員会での判断を事実上の最終決定とする方針を示した。
年金受給年齢到達後に加入者からの申請がないために5年の時効が適用されて年金を受け取れなかった件数が1999年から2003年の5年間で約9万3,000件あり、総額で1,155億円に上ることが、厚生労働省の推計で明らかになった。審議中の「年金時効撤廃特例法案」では、申請の遅れにより時効にかかった年金は補償の対償としないとされている。
日本経団連の御手洗会長は、「年金記録漏れ問題」の早期解決に向けて会員企業に協力を呼びかける方針を示した。会員企業が社内に相談窓口を設けて自社の年金のチェックを行うことや、大企業から中小企業に社員を派遣して状況を確認することを呼びかけるといった内容。また、政府からの要請があれば社会保険庁への人員派遣も検討するとし、これを受け、政府は協力を受け入れることを決定した。