厚生労働省は、慢性疾患の高齢者が長期入院する「療養病床」を現在の37万床から2012年度末までに15万床に削減する問題で、脳卒中後のリハビリテーションなどを目的とした約2万床は削減の対象から外す方針を決定した。リハビリテーション病床は、在宅療養への橋渡しとして重要であると判断したため。
厚生労働省は、介護保険料負担者・サービス受給者の対象範囲の拡大について、2009年度(次期保険料改定の時期)からの実施を見送る方針を示した。企業や障害者団体との調整が難しく、法改正が間に合わないと判断したもの。拡大案は、保険料負担者(現行は40歳以上)を39歳以下に広げ、サービス受給者(現行は原則65歳以上)の年齢も引き下げるというもの。
社会保険庁は、政府管掌健康保険の2007〜2011年度の収支見通しを発表。最悪の場合(2008年度の賃金伸び率が1.4%増、2011年度は1.3%増と仮定)、2008年度に2,000億円、2011年度に4,400億円の赤字で、累積赤字は8,100億円となる試算結果が明らかになった。同庁は今後の保険料の引上げも示唆した。
厚生労働省は、高齢者が長期入院する療養病床を削減し、介護施設や老人ホームへの転換を促進するための支援策を拡充する方針を示した。運営費用の安い介護施設などへ転換を図ることにより医療費を抑制する狙いで、改築費用の低利融資や税制優遇などを行うとしている。同省は、2012年には年間約3,000億円の医療費削減を見込んでいる。
厚生労働省が「介護保険事業状況報告」を発表。2005年度の介護保険給付費は5兆7,943億円(前年度比4.2%増)、利用者負担を含む費用総額は6兆3,957億円(同3.1%増)となったことがわかった。いずれも、介護保険制度導入以来5年連続の増加。
厚生労働省は、2012年4月をめどに、健康保険証にICカード機能を搭載した「健康ITカード」(仮称)を導入する方針を固めた。医師や患者本人が国のデータベースに接続し、過去の健康状態や治療内容などをパソコンで閲覧可能にするもの。医療の効率を高めて医療費抑制につなげたい考え。同省では、来年4月までに制度の詳細を決定するとしている。
厚生労働省の検討会は、内臓脂肪症候群(メタボリック・シンドローム)対策の一環として、職場の健康診断に腹囲の測定を加えるべきだとする報告書をまとめた。日本経団連などはこれに対し、「基礎疾患の予防は個人の責任だ」として反対の意思を表明している。今後、同省の労働政策審議会で議論されていく模様。
総務省は、健康保険の被扶養者の認定に関して、被保険者によって生計を維持されている兄姉であれば、別居していても被扶養者として認定できるよう、健康保険法を改正するよう厚生労働省に要請した。現在、兄姉の被扶養者認定には、同居が要件とされている。
厚生労働省は、65歳以上の介護保険料の体系を見直し、現在、加入世帯の課税所得によって保険料を最低6段階に分けている「階段型」を、所得に応じて緩やかに保険料を増減する「斜面型」に改める方針を示した。早ければ年内にも新制度を決定したい考え。
厚生労働省は、2007年度における介護保険料(40〜64歳1人当たり)が、平均で4万9,476円(前年度比4.0%増)となる見通しであることを発表した。月当たりの自己負担額は2,062円となり、初めて2,000円台を超える模様。
厚生労働省は、支払能力がありながら督促に応じない悪質な医療費滞納者に対して、健保組合などを通じて医療費の滞納を通知し、支払いを求める制度の導入を検討する方針を示した。現在、医療機関の未収金の約3割は健保組合の加入者。3月中にも、専門家で構成する未収金問題の検討会を同省内に設置の予定。
厚生労働省は、医療・介護分野における効率化のためのIT活用計画をまとめ、診療報酬明細書(レセプト)や健康診断の結果などの情報を電子化して管理する方針を示した。患者や医療機関が情報を活用できるようにし、重複検査や無駄を省くことにつなげたい考え。健診情報の電子化は2008年度から始める。
厚生労働省は、介護保険を使用してリハビリだけを集中して行うサービスを開始する方針を示した。新サービスは、通所リハビリの「個別・短時間型」で、2009年度の介護報酬改定での導入を目指す。
厚生労働省は、公的な出産育児一時金(35万円)に健康保険組合の判断で上乗せすることができる金額の上限を、現行の17万5,000円から35万円に倍増する方針を示し、全国の組合に通知した。組合の裁量権を拡大して少子化対策の強化を図るもので、組合が独自の基準を定めて不妊治療に対して助成することも認める。
国民健康保険の医療費の過払いを患者に知らせる減額査定通知を、2004年度に、全国の市区町村の40%に該当する961市町村が行っていなかったことが、厚生労働省の調べでわかった。通知は国の通達で定められている。多数の患者が過払いになっているとみられ、同省では「市町村に通知をするよう促す」としている。