長妻厚生労働大臣は、国民年金保険料を滞納している悪質なケースについて、国税庁に委任して財産の差押さえを含めた強制徴収を行う方針を明らかにした。所得が1,000万円以上あるにもかかわらず2年以上滞納しているケースなどを想定している。
厚生労働省は、事業主が従業員の給与から厚生年金保険料を天引きしたにもかかわらず国に納付していなかった事例について、2007年6月から2010年3月までの間に2万3,359件、総額約15億4,900万円あったと発表した。このうち、約4億5,900万円が未納のままとなっている。
日本年金機構は、現在有効とされている公的年金の基礎年金番号の数が、20歳以上の推計人口を約123万件上回っているとする調査結果を発表した。氏名変更に気づかず重複して交付したこと、死亡記録が反映されずに番号だけが残っていることなどが要因とみられる。
長妻厚生労働大臣は、国民年金の第3号被保険者が資格喪失を届け出ず、記録上は「第3号」のままになっている事例が多くみられることから、実態調査を行い、時効にかからない未納保険料(過去2年分)の支払いを求めていく方針を明らかにした。
日本とブラジルとの間で「社会保障協定」が合意に達し、近く両国政府が署名することが明らかになった。協定が発効した場合、働く期間に応じていずれかの国で保険料を払うだけで済み、両国での年金加入期間が通算されて年金が受給しやすくなる。また、日本で働く日系ブラジル人らの生活条件改善につながり、ブラジルに駐在する日本人会社員らの保険料負担軽減にもつながる
企業が採用している確定給付企業年金について、「有期型」(支給期間が決まっているタイプ)が90.3%、「終身型」(生涯にわたって支給するタイプ)が9.7%を占めることが、格付投資情報センターの調査で明らかになった。「有期型」の支給期間は、「10年」が82.8%、「15年」が8.5%となっている。
厚生労働省は、確定給付企業年金制度について、2002年度の制度開始以降にOBの受給者の給付減額が認められたケースが7件あったと発表した。年度別では2004年度の3件が最多。
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、2009年度における公的年金積立金の運用収益が過去最高の9兆1,850億円となったと発表した。収益が出たのは3年ぶりで、資産の構成割合は、国内債権68%、国内株式12%、外国株式11%、外国債券8%などとなっている。
菅首相を議長とする政府の「新年金制度に関する検討会」は、新制度の基本原則を決定した。「年金制度の一元化」「最低保障年金の導入」「負担と給付の関係の明確化」「持続可能な制度構築」「年金記録の確実な管理・チェック」「未納・未加入ゼロ」「国民的議論による制度設計」の7項目で、2014年度以降の導入を目指すとしている。
日本年金機構は、年金窓口業務のサービスコンテストを実施した。全国312の年金事務所で行われているサービス改善事例を集め、他の事務所にも広げるのが目的だったが、候補事例の説明の際に長妻厚生労働大臣ら審査員から「当たり前だ」「これが厳選された好事例なら、他の事務所はどうなっているのか」などの意見が出た。
長妻厚生労働大臣は、NTTグループの企業年金に関する最高裁判決を受けて、企業年金の減額に必要な要件を明確にしてほしいとの意見が出ていることに関して、「今のところ直ちにどうするという考えがまとまっているわけではない」とコメントした。
経営悪化を理由として退職者の企業年金支給額の減額申請をしたにもかかわらず、厚生労働省が減額を承認しなかったのは不当であるとして、NTTグループ(67社)が国に不承認処分の取消しを求めていた訴訟の上告審で、最高裁判所は「減額がやむを得ないとはいえない」として、同グループ側の訴えを棄却する決定を下した。
厚生労働省は、財務状況が厳しいために積立不足の穴埋め猶予制度を利用した厚生年金基金が全体(608基金)の約14%(2009年度末時点)であるとする集計結果を発表した。
2008年度における公的年金の財政収支が明らかになり、9,882億円の赤字となったことがわかった。厚生年金は3,139億円の黒字となったが、国民年金(4,199億円)、国家公務員共済(2,431億円)、地方公務員共済(6,327億円)は赤字だった。
政府が年金制度の基本原則の原案を明らかにした。昨年の衆議院選挙のマニフェストで掲げた「最低保障年金」を盛り込んだが、具体的な月額は盛り込まれなかった。また、消費税などの財源に関する具体論も示されなかった。