社会保険庁は、政府管掌健康保険・船員保険において医療費が過払いだった患者への通知漏れが2003〜2005年度に9,914件あったことを発表した。総額では最低でも1億円程度にのぼるとみられ、通知漏れは山口と佐賀を除く全都道府県の社会保険事務局であった。順次、勤務する会社を通じて患者への通知が始められている。
厚生労働省は、厚生年金の適用をパート労働者に拡大した場合に、健康保険・介護保険へも加入させる方針を固めた。現在、厚生年金と政管健保・健保組合は一体的に運営されており、パート労働者のみを医療保険の対象から除くのは混乱を招くと判断したため。
厚生労働省は、介護保険でサービスを行う事業者に義務付けられている情報開示制度の対象を4月から拡大する。現在の対象である訪問介護などの9サービスに、医療機関での長期療養やリハビリテーションなど新たに3つのサービスを加えることにより、大半の分野で情報開示が義務付けられることになる。
厚生労働省は、2005年度の国民健康保険の納付率(速報値)が90.1%(前年度比0.06ポイント上昇)となったと発表した。納付率が改善したのは10年ぶりとなる。同省では、約7万世帯を対象に行った悪質未納者からの強制徴収の実施や、コンビニエンスストアで納付できるサービスの普及などが大きな要因だと分析している。
厚生労働省は、75歳以上の外来診療を対象に、医師の治療を月に何度受けても健保組合などから医療機関に支払われる診療報酬を定額にする制度を導入する方針を固めた。現在は寝たきり患者への往診など一部に定額制が導入されているが、これを拡大するもので、2006年の医療制度改革で創設が決まっていた75歳以上対象の新保険制度の柱となるもの。今後、対象となる範囲や条件が検討されていく模様。
厚生労働省は、市町村の国民健康保険や健康保険組合に対し、医療機関で支払った医療費が審査支払期間の査定によって減額された場合に、患者への減額通知を徹底するように要請する方針を示した。社会保険庁が運営する政府管掌健康保険で通知漏れが発覚していたが、国保や健保組合でも同様の通知漏れが多いことがわかったため。
厚生労働省は、医療保険と介護保険の自己負担の合計が一定額を超える世帯に対して超過分を払い戻す「高額医療・高額介護合算制度」(来年4月スタート)の概要を固めた。月ごとに医療と介護で払い戻しを受け、それでも両方を合算した年間の世帯負担が一定額(年齢、所得等により細かく設定)を超えた場合、申請すれば超過分が払い戻される。
厚生労働省は、高額療養費について、超過分を後から払い戻す現在の方式を、70歳未満の入院治療については窓口で上限額だけを支払う方式へと変更する方針を固めた。申請の手間を省くとともに、政管健保だけで年間約70万件あるといわれる申請漏れによる医療費の払い過ぎを解消するのがねらい。来年4月から実施の予定。
厚生労働省は、出産に伴う医療事故の被害者を救済するため、産科医の過失が認められなくても障害を負った母子に補償金が支払われる「無過失補償制度」を創設する方針を示した。現状では医師の過失認定が必要とされ、訴訟の長期化などが問題視されている。今後は補償の財源や制度内容などについて、同省と日本医師会の間で調整する模様。
厚生労働省は2005年度の介護給付費実態調査を発表し、1年間に1度でも介護保険サービスを利用した人の数は439万8,400人(前年度比6.3%増)となり、過去最高を更新したことがわかった。高年齢者の増加が最大の要因で、2001年度の調査開始以来毎年増加している。今年3月に利用した人1人当たりの費用は、全国平均で月額14万5,300円だった。
厚生労働省は、2008年度から健康保険料の料率上限を年収の10%まで
引き上げる。これは、政管健保8.2%、組合健保3%〜9.5%と定めら
れている現在の料率を共に3%〜10%にするというもので、政管健保
については08年10月からの全国健康保険協会への運営移管、および
その1年後に行われる「都道府県単位での料率設定」を踏まえたもの
となっている。今般の医療制度改革で、08年度から毎年の健康診断と
保健指導が義務付けられたのを受け、健保組合の財源確保を目的とし
た措置といえる。
政府管掌健康保険の2005年度収支が1,494億円の黒字(収入7兆4,793億
円、支出7兆3,299億円)となったことが社保庁の発表で明らかになった。
被保険者の増加などの影響で2003年度以来3年連続の黒字となったが、
2006年度は医療費の増加などで赤字に落ち込むと同庁は見込んでいる。
厚生労働省は、現在は出産の約1カ月後に現金で対象世帯に支給している出産育児一時金の支払方法を、健康保険から医療機関に直接支給する方式に改める改善策をまとめた。年内にも実施される見込みで、事前の申請は出産予定日の1カ月前から受け付ける。支払方法の変更により、親は平均で約32万円かかる分娩費用を事前に用意する必要がなくなる。