法務省のプロジェクトチームは、外国人労働者問題に関する最終報告をまとめ、特別永住者を除く外国人の受け入れ数に上限を設定し、上限に接近した場合は受け入れ抑制策を実施することなどを提言として盛り込んだ。同報告では、国内における高齢者や女性、フリーターやニートの活用を優先し、その後に外国人の受け入れ拡大を図るべきだとしている。
今年7月の出生数が9万6,048人(昨年同月比3,032人増)となり、1994年以来12年ぶりに6カ月以上続けて前年同月を上回ったことが、厚生労働省の調べで分かった。8月以降もこのペースを保った場合、合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの数)が2005年の1.25(過去最低)を上回る可能性が大きいが、政府が目標としている1.4までは届かないとみられている。
石綿による健康被害の救済に関する法律(石綿新法)の施行後、半年の間に救済を申請した1,160人のうち、認定の可否決定を受けられないまま死亡した中皮種・肺がん患者が170人いることが環境再生保全機構の調べでわかった。認定を受けた患者には医療費や療養費が支給されるが、症状の確定診断の難しさから判定が困難とされている。また、認定を受けた患者は申請者の約2割にとどまっている。
総務省が高齢者推計人口を発表し、65歳以上の人口が2,640万人(前年比83万人増)、総人口に占める割合が20.7%(同0.7ポイント増)となり、ともに過去最高を更新したことがわかった。75歳以上の人口は1,208万人(同54万人増)、総人口に占める割合は9.5%で、国民の約10人に1人を占める結果となった。
厚生労働省は、失業手当などの原資となる雇用保険の来年度以降の保険料率を、現在の1.6%(労使折半)から少なくとも0.2ポイント引き下げる方針を示した。景気回復により雇用状況が改善して保険財政が大幅に改善されたためで、引下げは1993年度以来14年ぶりとなる。また、雇用保険三事業の保険料(企業のみ負担)についても料率を0.05ポイント引き下げる方針で、これらが実現すれば保険料は年間3,500億円以上減ることになる。
厚生年金への加入義務がある事業所のうち、約3割に相当する約63万〜70万事業所が加入の手続きを行っておらず、これに伴い将来年金を受け取ることができない従業員数が推計で約267万人に上ることが、総務省の調べでわかった。同省は、未加入事業所の総数などを把握していない社会保険庁に対し、実態を正確に把握できる仕組みを構築し、加入促進への取り組みを強化することなどを勧告した。
総務省は、育児や介護を行う事務職員を対象として、ITを活用して在宅勤務を認めるテレワーク制度の導入を15日から始めた。民間での普及は進んでいるものの、中央省庁・自治体での本格的な導入は初めて。週に数日程度の在宅勤務を認め、勤務時間は出勤した場合と同様とする。通勤手当は減額されるが、給与や休暇日数も通常勤務と同じ。
社会保険庁は、2005度の国民年金保険料の納付率が67.1%(前年度比3.5ポイント増)であったと発表し、同庁が目標としていた69.5%には届かなかったことがわかった。約35万件の不正免除などを取り消したことにより、6月中旬に発表した暫定値(67.8%)から0.7ポイントの下方修正となった。同庁は、2007年度の納付率目標を80%としている。
厚生労働省は、アスベストが原因で発症する中皮腫患者の情報をデータベース化する方針を示した。全国の労災病院の協力を得て、病状や職歴など、中皮種患者のデータを収集・分析し、今後の診断や治療法の開発に役立てる。石綿被害の相談や診断を受けに来た人が対象となり、患者が協力した場合、検査費用(約2万円)は無料となる。年内にも開始予定で、3年間で約1万人の検診を見込んでいる。
社会保険庁は、年金加入者からの相談や問い合わせに対応するため、2008年度までに全国3カ所のコールセンターを新設し、運営を民間に委託することを発表した。現在、全国に24カ所ある電話相談業務の拠点を集約するもので、コスト削減・サービス向上を図る。同庁では、厚生年金の年金記録に多数のミスが見つかったことから、今後、加入者からの相談や問い合わせが増加するとみている。
市町村が、介護保険施設運営事業者の不正請求や事務的ミスなどによって2005年度に介護報酬の返還請求をした額が、約45億円(4,113事業所が対象で、悪質事例の加算額約2億円を含む)に上ったことが、厚生労働省の調べでわかった。前年度の請求額(約81億円)から大幅に減少したものの、悪質な不正請求により介護保険施設の指定を取り消される事業所は増加している。
厚生労働省は「人口動態統計」を公表。アスベスト(石綿)が主な原因とされるがんの一種「中皮種」による2005年の死亡者数は911人で、過去最多だった前年より42人減少したことがわかった。ただ、2005年は中皮種患者がインフルエンザで死亡したケースが多かったとみられ、今後、死亡者数は増えると予想されている。
企業年金連合会は、厚生年金基金などの企業年金の資産の運用実績を発表し、2005年度の運用利回りが過去最高(1984年度の調査開始以来)の19.16%となったことがわかった。企業年金の資産の約半分は株式が占めており、国内外における株価の上昇が影響したことによるもの。
厚生労働省は、労働者派遣法等に抵触する「偽装請負」が製造現場を中心に横行していることから、偽装請負の監督指導を強化したり、指導後も改善がみられない悪質な事業者等を積極的に処分したりするよう、全国の労働局長に通知した。また、社会保険への加入や福利厚生の付与等、請負労働者の処遇を改善する指針を来夏までに作成すると発表した。
公的年金の積立金を、株式や債券などで運用する「年金積立金管理運用独立行政法人」は、2006年度4〜6月期の年金積立金の運用実績を発表し、2兆32億円の赤字となったことがわかった。5月の国内外における株価下落の影響を大きく受けたもので、2001年度7〜9月期に次ぐ、過去2番目に大きな赤字額となった。