財務省が2005年の地方公務員(全国47都道府県)の給与を調査した結果、
各地域の民間企業の給与(厚生労働省が従業員100人以上の企業を対
象に調査)より平均で21%も高いことがわかった。最も格差が大きかった
青森県では公務員の36.2万円に対して民間は26.3万円と38%の開きがあ
り、最も格差が少なかった東京都では0.7%の開きがあった。
厚生労働省が昨年10月に初めて行った「若年者雇用実態調査」の結果
を発表。30歳未満の正社員の採用を、今後3年間で「増やす」(36.4%)と
する企業が「減らす」(6.1%)とする企業を大幅に上回ることがわかった。
「ほぼ同じ」と回答したのは43.8%だった。特に、運輸業(42.0%)や金融・
保険業(41.3%)などが若手正社員を積極的に増やすとしている。
労働者派遣法等に抵触する「偽装請負」について、2005年度に全国の労
働局が発注側企業や請負業者に対して是正指導を行った件数が974件と
なり、過去最多だった2004年度(639件)を大幅に更新したことが、厚生労
働省の調査でわかった。同省は2年前から企業への立ち入り調査を強化。
悪質な場合は事業改善命令、事業停止命令で対応するとしている。
厚生労働省は、「人口動態統計(速報)」を発表。2006年上半期の出生数
は54万9,255人で、前年同期(53万7,637人)比で1万1,618人増加したことが
わかった。半期ベースの増加は6年ぶりとなる。2006年の出生数が前年を
上回り、合計特殊出生率(女性が一生に産む子供の数の推計)も6年ぶり
に上昇に転じる可能性が出てきた。
厚生労働省は、2008年度から健康保険料の料率上限を年収の10%まで
引き上げる。これは、政管健保8.2%、組合健保3%〜9.5%と定めら
れている現在の料率を共に3%〜10%にするというもので、政管健保
については08年10月からの全国健康保険協会への運営移管、および
その1年後に行われる「都道府県単位での料率設定」を踏まえたもの
となっている。今般の医療制度改革で、08年度から毎年の健康診断と
保健指導が義務付けられたのを受け、健保組合の財源確保を目的とし
た措置といえる。
政府は、パート労働者への厚生年金の適用拡大に関する厚生労働省の
試算を発表した。これによると、サラリーマンの妻(41歳)が月8万
円の賃金で20年働いた場合、保険料負担が月額で約5,700〜7,300円新
たに加わるが、年金受給額は約8,600円増加する。自営業者の妻となる
と、自己負担している保険料(国民年金)が折半となるうえに受給額
が増えることにもなる。政府は早ければ2009年の実施を目指すが、経
済界からの反発は厳しい。
なお、現在のパート労働者数は約1,266万人(2005年)。
企業年金連合会は、10月より「通算企業年金」の予定利率を現行の0.5%
から1.75ポイント引き上げ、2.25%にする方針を決定。日銀のゼロ金利
政策解除などを受けた措置で、加入者が約7,500人と低迷している中、
制度の周知を徹底し加入者の拡大を図る。通算年金は、確定給付企業年
金や厚生年金基金の脱退者らの積立金の受け皿として昨年10月に発足した。
厚年基金などがある企業に再就職した際には積立金を引き継ぐこともできる。
厚生年金や政府管掌健康保険に未加入の適用対象事業所は、昨年度
末時点で6万3,539あることが、社会保険庁の調査で判明した。判明分以
外にも未加入事業所は数多くあるとみられる。同庁は今年度から従業員
15人以上の未加入事業所への立入り検査を強化。職権による強制加入
も行い、悪質な企業に対しては罰則の適用も検討するとしている。
東京都内の人材派遣業者や請負業者が、派遣先や発注元を偽った求人
をハローワークに出していたことが、東京労働局の調べでわかった。今年
3月からの調査だけで500件以上の不正求人が判明。今後は求人申込み
の際に、派遣・請負業者に対し派遣先や発注元との契約書を提出するよう
求めるなど、チェックを強化するとしている。
教育訓練給付金の不正受給が、1999年度の制度創設以降、計3,926件、
総額約6億3,000万円に上ることが、厚生労働省の調査により判明した。
大半のケースは受講者に謝礼を支払う代わりに給付金を回収する組織的
な不正受給。判明分はごく一部にすぎないとみられており、同省は、今後、
給付額の引下げを検討し、チェック体制の強化を図るとしている。
厚生労働省は「2005年度女性雇用管理基本調査」を発表。2004年11月〜
2005年10月の1年間において介護休業を取得した正社員など常用労働者
の割合は0.04%にとどまり、前回調査(2002年度・0.05%)から減少する結果
となった。一方、介護休業の規定を設ける従業員30人以上の事業所は、
前回調査(2002年度・73.2%)から増加して、81.4%となった。
政府は、社会保険労務士、税理士、司法書士の三士業について、労働者派遣を認める方針を示した。これまで、士業の労働者派遣は業務の専門性を守る必要性などから認められていなかったが、民間のニーズが高く、派遣を解禁しても差し支えないとの判断から規制緩和に踏み切った。弁護士については見送られた。これにより、社会保険労務士は、所属する組織から別組織に出向いて業務を行えるようになる。9月に開催予定の「構造改革特区推進本部」で正式決定し、今年度中に全国で実施される。
企業年金連合会(2005年10月に厚生年金基金連合会から名称変更)は、2005年度の決算結果を発表。国内外の株式運用が好調だったことなどから、資産運用利回りが過去最高の22.7%となったことがわかった。その結果、約1兆8,000億円の剰余金が発生し、2004年度末時点での積立不足(約5,400億円)が解消され、積立超過が約1兆3,000億円となった。
連合は、今年の春闘におけるパートの待遇改善に関する交渉結果を発表。平均21.3円の賃上げ要求に対し、平均11円の増額回答を引き出していたことがわかった。前年と比較して0.7円高い回答水準。連合では、非正規雇用社員の増加傾向を踏まえ、今年の春闘で初めて「パート共闘会議」を立ち上げており、引き続きパートの待遇改善に力を入れるとしている。
厚生労働省は「2005年雇用動向調査」を発表。昨年1年間の入職率(仕事に就いた人の働く人全体に占める割合)は17.4%、離職率(退職・転職で職を離れた人の割合)は17.5%となったことがわかった。景気回復に伴う就職者や転職者の増加で、入職率は前年比1.7ポイント増、離職率は同1.5ポイント増となり、ともにバブル期の1990年(入職率16.8%、離職率15.3%)を上回った。