社会保険庁は、今年の12月から厚生年金の受給者に対して、年金記録を確認してもらうための通知を送付する方針を明らかにした。すでに現役の加入者には送付しているが、受給者にも標準報酬月額などを確認してもらい、記録漏れや誤りがないかを調べてもらう。
長妻厚生労働大臣は、年金記録問題への対策案をまとめ、年金支給の認定基準を大幅に緩和し、本人の申立てに「明らかな不合理」がない場合は広く支給を認めていく方針を明らかにした。被害者の救済が滞っているためで、該当者不明の記録の持ち主である可能性が高い受給者へは、役所から記録訂正を働きかけるとしている。
厚生労働省と社会保険庁は、来年1月発足予定の日本年金機構の職員採用に関して、民間採用枠の不足追加募集(50人分)の面接を延期する方針を明らかにした。民主党が、社会保険庁から同機構への移行に反対しているためで、9月下旬に実施予定だった面接試験を10月以降に延期するとしている。
社会保険庁は、システムの不具合により老齢年金受給者20人に年金の過払い(1人あたり平均133万円)が今月15日に発生することを発表した。過払いの対象者の年齢は78〜88歳で、同庁では、個別にお詫びして返納を求める方針。
企業年金連合会は、今年3月末時点における厚生年金基金の未払いが143万人分(60歳以上の受給資格者27.8%に相当)、総額で1,588億円あると発表した。このうち98万人分は住所不明で受給手続の申請書類が送付できなかったことによるもの。
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、2009年度第1四半期(4〜6月)の公的年金の市場運用実績が4兆4,921億円の黒字となったと発表した。黒字になったのは2008年度第1四半期以来。株価上昇の影響によるもの。
社会保険庁は、2008年度の国民年金保険料の実質納付率(保険料の免除・納付猶予・学生納付特例等を受けている人たちを含めたうえでの実際の納付率)は45.6%となり、3年連続で50%を下回るとする試算結果を発表した。若年層ほど納付率が低かった。
NTTグループが、1997年4月〜2003年8月までの間に社員ら約4,000人の給与・賞与から天引きした厚生年金保険料について、一部しか国に納めていなかったことが明らかになった。「エヌ・ティ・ティ企業年金基金」と国の年金記録に食い違いがあり、うち20人分は国に記録がまったくなかった。第三者委員会で訂正が認められれば、会社が未納分を支払い、社員らは本来の年金額が受給できる。
社会保険庁は、来年1月に発足する「日本年金機構」に関して、正規職員に内定している民間人(1,078人)の一部を前倒しで非常勤講師として採用する方針を明らかにした。年金記録問題への対応に充てる考え。
厚生労働省は、社会保険庁が持つ公的年金の加入者の住所情報を、「確定拠出年金」や「確定給付企業年金」などにも提供する方針を明らかにした。住所不明が原因で企業年金を受給できない人が多数いることを受けたもので、すでに、「厚生年金基金」には情報提供を開始している。9月にも省令などを改正し、早ければ10月から適用する。
厚生労働省が2008年度における公的年金の収支決算(時価ベース)を発表し、厚生年金が10兆1,795億円(前年度5兆5,909億円)、国民年金が1兆1,216億円(同7,779億円)の赤字になったことがわかった。株価の低迷が主な要因。
社会保険庁は、「宙に浮いた年金」約5,000万件のうち、持ち主が特定できていないものが昨年12月時点で2,562万件あると発表した。昨年8月時点の2,756万件から4カ月で194万件減少した。
社会保険庁は、昨年「公的年金支給停止制度」(自主的に受取りを辞退する制度)を利用した年金受給者は96人だったと発表した。同制度は2007年4月にスタートしている。
社会保険事務所で年金記録訂正の申請を受け付けた後、受給者に増額分を支払うまでに平均で約9カ月かかっており、現在訂正作業中のものが約11万8,000件あることが明らかになった(いずれも昨年12月時点)。
自民党の年金委員会は、厚生年金保険料の支払いが遅延した場合の延滞利息について、現行(年利14.6%)から大幅に引き下げる方針を示した。滞納期間が短い場合は、国税の場合と同様に年利4.5%程度とする。今通常国会に、議員立法で厚生年金保険法改正案を提出の予定。