昨年1〜10月の間に見つかった年金記録の誤りが約93万6,000件あり、そのうち正確な年金受給額を確定できた割合が約2割にとどまっていることが、社会保険庁の調べで明らかになった。再裁定が終了していないケースは約73万8,000件にものぼっており、同庁では、作業迅速化のため担当職員を増強する方針。
厚生労働省は、税制適格年金(2012年3月末廃止予定)を採用している中小企業が他の企業年金に移行するのを促進するため、支援本部を設立し、初会合を開いた。移行や解散の手続きが終了していない企業は昨年3月末時点で約3万3,000社ある。
舛添厚生労働大臣は、年金記録訂正の事務処理を行うための人員を現在の280名から500名に増やす方針を明らかにした。現在は平均で7カ月程度かかっている記録訂正から年金受給までの期間を3カ月程度に短縮するのがねらい。また、支払いが遅れた分については利息をつけることも検討する意向を示した。
社会保険庁は、従業員の厚生年金記録が遡って改ざんされていた場合、社会保険事務所で記録を訂正できることとした。事業所が厚生年金から脱退した後に遡って従業員の標準報酬月額が引き下げられていたり、加入期間が短くされていたりするケースで、給与明細書等の記録で実態が確認できる場合に可能で、記録回復を早めるのがねらい。
社会保険庁は、「宙に浮いた年金記録」から自分の記録が見つかったことにより、「無年金」の状態から受給権を回復できた人が、今年5〜9月の間に62人いたことを明らかにした。年齢は62歳〜93歳で、受給できる年金額(年間)は平均約61万3,000円となっている。
社会保険庁は、厚生年金標準報酬月額の改ざん問題に関して、被害者が事業主や役員でない一般の従業員であり、改ざんされた時期の給与実態が確認できる場合、総務省第三者委員会の審査を省略して社会保険事務所で記録訂正に応じる方針を示した。今後、全国の社保事務所に基準を通知する。
厚生労働省は、2009年度の国民年金保険料について、月額250円引き上げて1万4,660円とすることを決定、発表した。厚生年金、国民年金の給付額は据え置かれる見通し。
厚生労働省は、厚生年金の標準報酬月額の改ざんに関して、社会保険労務士や弁護士など12名からなる「年金記録問題拡大作業委員会」を設置した。改ざん事例について事実関係の調査を行い、被害者救済を目指す。
社会保険庁は、65歳到達後も国民年金や厚生年金の請求を行わないため、5年の時効期間を過ぎて受給できなくなっている事例が1999年度から2007年度の間に約17万件に上り、総額で約2,400億円あるとする調査結果を発表した。受給資格要件の25年の加入期間を満たしていないと勘違いしているケースが多いとみられている。
政府は、2009年4月から基礎年金の国庫負担割合の2分の1への引上げを実施し、当初2年間の財源には財政投融資特別会計の積立金を充てる方針を示した。引上げには2.3兆円の財源が必要となるが、2011年度までは「つなぎ財源」でしのぐとしている。
自民党は、後期高齢者医療制度について党独自の見直し案を来春までに提示し、マニフェスト(政権公約)に盛り込む方針を明らかにした。公費負担を現在の50%から55%程度に引き上げ、高齢者の保険料を引き下げる案などが浮上している。
日本郵政グループの郵便事業会社は、郵便物約12万通を2カ月間放置し、その中に「ねんきん特別便」約4万5,000通が含まれていたことを明らかにした。作業ミスにより、9月下旬に関西方面に配達予定のものがJR貨物の梅田駅構内に残されていた。
厚生労働省は、国民年金保険料の支払い免除・猶予制度の対象となる人が実際の約3倍程度に増加する可能性があるとの推計結果を発表した。2007年度に免除・猶予の手続きを利用したのは約500万人だが、同省が所得状況に応じて機械的に分類作業を行ったところ、対象者は加入者の8割程度に相当する約1,500万人に膨らんだ。
厚生労働省の社会保障審議会年金部会は、年金制度改革に向けた検討項目を示し、パート労働者や低所得者への一定水準の保障、高所得者の保険料引上げ、育児期間中の保険料免除の拡充などを挙げた。
厚生労働省は、低所得により国民年金保険料の支払いが全額免除されるにもかかわらず、申請を行っていないために免除を受けていない加入者が約300万人いるとする推計結果を発表した。同省では、免除の申請がなくても職権により免除可能とする制度の創設を検討するとしている。