舛添厚生労働相は、厚生年金の標準報酬月額の記録改ざん問題で、改ざんされた可能性の高い記録が6万9,000件あると表明した。社会保険庁による改ざんへの組織的関与の疑いが高まっている。
厚生年金の標準報酬月額の記録改ざん問題で、東京都内の不動産会社社長の男性(67歳)が民主党の部会に出席し、社会保険事務所職員が2年間さかのぼって不正に標準報酬月額を改ざんしていたことを証言した。
企業年金連合会は、2007年度における企業年金全体の運用利回りがマイナス10.58%となったと発表した。2ケタのマイナス運用は2002年度以来5年ぶりで、サブプライムローン問題を背景にした国内外の株安の影響を受けた。
社会保険庁は、本来は公的年金の受給資格があるにもかかわらず、同庁の記録ミスにより無年金扱いになっていた人が35人いると発表した。記録の訂正により1人当たり平均57万円を受け取ることができるとしている。
企業年金連合会は、支給すべき年金が未払いになっている60歳以上の受給資格者が2008年3月末時点で約147万人(前年同期比23万人増)おり、累積額は計1,865億円に上ることを厚生労働省に報告した。住所不明で受給資格者に連絡がつかなかったことなどが原因。
社会保険庁は、システムのプログラムミスにより在職老齢年金が未払いとなっている人が3万2,825人おり、総額で約11億9,000万円に上ることを明らかにした。未払いがあったのは1999年8月〜2008年7月で、平均額は1人平均3万6,238円。同庁では10月15日の支給日に未払い分を支払うとしている。
厚生労働省は、公的年金記録の紙台帳(約8億5,000万件)と社会保険庁のコンピュータ記録の照合を進めるため、2009年度に合計83人の担当職員を配置する方針を明らかにした。内訳は年金局から5名、地方厚生局から78人となる見通しで、「日本年金機構」(社会保険庁の後継組織)のみに対応を任せないのがねらい。
厚生労働省は、厚生年金保険料を滞納した事業主が支払う延滞金について、額の引下げや延滞金発生期限の引延しの検討に入ったことがわかった。支払いが3週間程度遅れると年率14.6%の延滞金利による延滞金が発生するが、中小零細企業の資金繰りに深刻な影響を与えるとの意見が出ていた。2006年度の滞納事業所数は10万8,070カ所。
厚生労働省は、2010年1月に社会保険庁の後継組織として設立される「日本年金機構」の指導監督を目的として、年金局内に「年金事業運営部」を、地方厚生局(全国7局1支局)内に「年金管理部」をそれぞれ新設する方針を示した。2009年度の組織・定員要求に おいて総務省に要求を行う。
2007年度の国民年金保険料の実質納付率は47.3%(前年度比1.7ポイント低下)で、年齢層が下がるにつれて納付率が下がる傾向にあることが社会保険庁の試算でわかった。納付免除者・猶予者も分母に加えて算出した、国民年金加入者のうち本当に払った人の比率を示すもので、加入者の半分しか実際には納付していない実態が明らかとなった。
社会保険庁は、年金時効特例法(2007年7月施行)に基づいて支払われる年金が、2008年7月末時点で7万2,853件、総額約425億円に達したと発表した。同法は、納付した年金記録の訂正による増額分を受け取る権利の時効撤廃を定め、これにより、受給権が発生した時点から時効消滅分が全期間遡って本人または遺族に支払われている。
社会保険庁は、国民年金保険料の徴収業務を民間に委託する「市場化テスト」の結果を発表し、2006年7月から2007年9月までの間に35の社会保険事務所で民間事業所に委託して、徴収額の目標を達成したのは1カ所のみだったことがわかった。
社会保険庁は、国民年金・厚生年金の2007年度の決算(時価ベース)を発表し、それぞれ7,779億円の赤字(前年度は279億円の赤字)・5兆5,909億円の赤字(前年度は2兆8,103億円の黒字)となったことがわかった。サブプライムローン問題による年金積立金の運用損が大きく影響した。
2007年度の国民年金保険料の納付率が63.9%(前年度比2.3ポイント減)となったことが明らかになった。すべての年齢層で低下して2年連続の悪化となり、65%を割ったのは2004年度以来となる。政府が目標数値としている「80%」との差がまた広がった格好。
社会保険庁は、納付率の向上を図るため、2008年度からすべての社会保険事務所(312カ所)に年金保険料の強制徴収に関する専任担当者を配置する方針を明らかにした。