社会保険庁は、6月23日から現役の会社員などに送付を始める「ねんきん特別便」のうち、約2,200万通(全体の55.7%に相当)は企業経由で配布すると発表した。大企業を中心に全事業所の22.3%が配布に協力すると回答。中小企業では事務負担を懸念して協力要請を拒むところも多く、こうした場合は直接本人に郵送される。
2007年度における国民年金保険料の納付率が64%前後となり、2006年度の66%を下回って2年連続低下となる見通しが明らかとなった。社会保険庁は未納者への強制徴収に力を入れているが、「年金記録問題」を背景に納付しない人が相次いだとみられる。
政府の社会保障国民会議は、年金を「税方式」移行して基礎年金の財源をすべて税金で賄う場合、消費税を2009年度に9.5〜18%まで引き上げる必要があるとの試算結果を公表した。保険料負担は減るものの、増税との差引きで年金受給者や会社員世帯では負担増となる。厚生年金の拠出金がなくなる民間企業の負担は減る。
国民年金を満額受給できる条件を満たした後も保険料を納付し続けていた人による「過払い保険料の還付申請」が、5月1日の受付開始以降64件になったことが、社会保険庁の発表によりわかった。還付を受けるには本人による申出が必要で、今後件数は増える見込み。
年金保険料を納付した証拠がない人への給付を審査する総務省の「年金記録確認第三者委員会」による審査において、申立者本人から直接意見を聴取した割合が全体の1割に満たないことがわかった。聴取しなかった理由は、「申立人が希望しなかった」(58%)、「聴取が不要と判断した」(42%)となっている。
社会保険庁は、新たに判明した年金記録の訂正手続により受給額が減額となる場合には「修正なし」として扱い、受給額が減らないようにする方針を固めた。これまでは職員により減額したりしなかったりと対応がばらばらだったが、「減額になるのは合理性に欠ける」との判断から基準を統一した。同庁は、5月から実施するよう全国の社会保険事務所に指示を出した。
「宙に浮いた年金記録」の持ち主である可能性が高い約1,030万人に3月中に送られた「ねんきん特別便」について、回答をした人は全体の32.6%に相当する336万人にとどまっていることが、社会保険庁の発表により明らかになった。また、全体の約5.3%に相当する約55万通の特別便が未着となっていることもわかった。
自民党は、障害年金の受給者に配偶者や子どもがいる場合の加算について、年金を受給し始めた後に結婚したり子どもができたりした場合でも加算が受けられるよう法律改正を検討していることを明らかにした。今国会で議員立法による法案提出を目指すとしている。現行制度で加算があるのは障害年金を受給し始めた時点の家族の分だけとなっている。
社会保険庁は、年金を満額受給するのに必要な期間を超えて保険料を支払った人に対して何らかの通知を行うことを検討していることが明らかになった。今月から過払いの申出をした人には過払い分の保険料の返還を開始したが、申出を前提とした対応を改めることとした。しかし、現行のシステムを改善するのには1年程度かかる模様。
舛添厚生労働大臣は、「ねんきん特別便」が到着した受給者らが、社会保険事務所で年金記録を訂正した際に、訂正後はどのぐらい年金額が変動するかの試算結果を示した「仮計算書」を発行することを明らかにした。5月1日から開始の予定で、すでに訂正が終了している人にも発行する。
厚生労働省は、事業主がパート労働者の給与から国民年金保険料を天引きして徴収できるようにする方針を固めた。また、低所得のため保険料免除となる人については、本人の申請がなくても社会保険庁が手続きを行えるようにする仕組みも導入する。いずれも納付率向上につなげるのがねらいで、2009年度中にも実施するとしている。
〜パートで働く人の多くは、扶養の範囲で働いていると思います。果たしてこれで、納付率向上につながるかは疑問です。むしろ、これは厚生年金の適用範囲を拡大への布石ではないかと私は予想します。このような目先のやり方よりも、制度の改革を期待します。〜
國本談
社会保険庁は、自治体でも自分の年金記録を検索できるよう、オンライン端末を全国の市町村に貸与し始め、今月から来月にかけて全国23市町に設置する予定であることがわかった。「ねんきん特別便」の発送に伴い市町村などで年金相談が増加していることに対応したもので、今後さらに設置先を増やす方針。
厚生労働省は、国民年金保険料を受給額が満額となる40年を超えて納付し続けた人に対して、本人からの申出があれば過払い分を全額返還することを発表した。同省では従来、過払い分の返還は法律上困難としてきたが、従来の方針を転換して、全国の社会保険事務局に通達を出した。舛添厚労相は「5月1日ぐらいまでにはすべての社会保険事務所で体制が整うと思う」と述べた。
〜これは当たり前のことだと思います。しかし、「申出があれば」ではなく、国自身のせいで多めにとったのだから、本来なら国の方から率先して返還するべきだと思います。〜 國本談
“宙に浮いた年金記録”に関して、記録が統合されると受給した年金の減額・返納が必要となるケースが複数起きていることが、社会保険事務所職員の証言などで明らかになった。短期間のパート中に厚生年金に加入していた専業主婦や、障害者の場合に該当する可能性が高い。
厚生労働省は、国民年金加入者が満額の受給額を確保した後も保険料を払い続けてしまった分について、返還する制度を創設する検討に入ったことを明らかにした。同省はこれまで、返還する制度がないとして返還を拒否してきた。民主党は保険料過払い分を返還させるための法案を今国会に提出する方針。