確定拠出年金で、運用されないまま塩漬けにされている約8万人分(総額211億円)の年金資産のうち約2万人分について、加入者の連絡先が不明となっていることが明らかになった。転職時に必要な手続きをとらないまま引っ越し等で住所不明となるケースが多いとみられる。厚生労働省では、企業の説明や本人の理解の不十分さが主な原因として、資産の移行手続の周知を企業などに徹底するよう求める。
厚生労働省は、国民年金保険料をクレジットカードでも納付できるように国民年金法の政令を改正することを明らかにした。納付方法の選択肢を増やして保険料を支払いやすくすることがねらいで、国の公金納付でクレジットカードの利用が認められるのは初めて。社会保険事務所での申込み受付けは2008年2月以降で、実際の納付は同年3月分の保険料からとなる見通し。
時効により徴収不能となった国民年金の保険料が、2006年度は9,864億円にのぼることが、社会保険庁の調査でわかった。徴収できた保険料(1兆9,038億円)の約半分に相当する額が取立て不能になったということで、未納問題の深刻さが浮き彫りとなった。未納が与える年金財政への影響は少ないとみられるが、今後、無年金で生活保護に頼る人が増えることが懸念されている。
国民年金の全加入者が納めるべき保険料のうち、実際に納めた割合を示す実質納付率が、保険料の免除や納付猶予を受けた人も徴収対象者に加えた場合、2006年度は49.0%と5割を下回ることがわかった。民主党の要求に応じて社会保険庁が試算して明らかになったもの。保険料納付を免除されている人を計算の対象から除いた同年度の納付率は66.3%。
年金記録問題のけじめをつけるため社会保険庁が全職員と幹部OBらに今夏の賞与の一部自主返納・寄付を求めていた問題で、同庁は、対象者の84%に当たる計1万7,906人が応じ、返納額は約14億9,542万円になると発表した。返納分は全額、年金財政の国庫負担の一部に充てられる。
舛添厚生労働大臣は、社会保険事務所の窓口での保険料徴収を廃止し、銀行振込みなどのオンライン支払いに統一する考えを示した。社会保険庁職員による年金保険料の横領問題を重くみたためで、「信用ならない」(舛添大臣)窓口職員を現金に触れさせないという強硬策を打ち出した。窓口徴収は、早ければ来年度から廃止される。
「年金記録問題検証委員会」による最終報告について、発表は当初予定の9月末から10月中旬以降にずれ込む見通しが明らかになった。保険料の横領・着服事件などの新たな問題が浮上し、検証作業に時間がかかっているためで、同委員会では記録漏れ問題の原因や責任を追及するほか再発防止に向けて個別の横領・着服事件を調査、社会保険庁の組織や監査体制に問題がなかったかなどの検証も進める方針。
社会保険庁は、国民年金保険料などの横領問題について、市区町村職員による横領の再調査結果を発表し、同庁職員を含めた年金横領は計153件、約4億1,000万円となったことがわかった。記録回復を申し立てている1万人以上の保険料未納扱い期間についても未発覚の横領が原因であった可能性が出てきており、再発防止策を含め課題は山積みとなっている。
5,000万件の「宙に浮いた年金記録」の1割強に氏名などのデータが欠落していた問題で、欠陥記録の修正時に氏名の読み方を本人に確認しないまま作業が行われていることがわかった。東京社会保険事務局を視察した民主党の長妻昭政政調会長代理らが指摘したもので、同氏は「根本的な解決とはほど遠い」と批判している。
社会保険事務所と市区町村職員による年金保険料横領問題で、市区町村職員追加調査の中間報告により、新たに47件の横領が見つかったことがわかった。今回の調査により、これまでに判明した横領は計145件、被害総額は約3億9,600万円となった。社会保険庁では、今後さらに詳細な内容を公表する方針。
全国の年金記録確認第三者委員会で、新たに33件のあっせん案が示された。これにより、記録の回復が認められた申立ては計137件、却下された申立ては計8件となった。今回あっせん案が示された事案の中には「不自然な記録」を持つものがあり、保険料横領の可能性も出てきている。
総務省の年金記録確認第三者委員会に公的年金納付記録の回復申立てをした人が1万人を超えたことがわかった。現在審査結果が出ているのは108件で、申立ての1%にとどまっている。申立ては今後一段と増加するとみられ、総務省は委員・スタッフを確保し、審査スピードを速める方針。
総務省の年金記録確認第三者委員会は、領収書などの証拠がない人について、新たに33件(中央9件、地方24件)の年金記録の訂正を求めるあっせん案を社会保険庁に提示した。また、1件については記録の訂正を却下した。認定件数は合計で104件(中央55件、地方49件)となった。
国民年金保険料の横領問題で、社会保険事務所や市区町村の職員以外に、保険料の納入窓口となっている郵便局でも局員による保険料の着服があったことが明らかになった。2003年4月から2007年8月までに計4件(被害総額約19万円)あった。
企業年金連合会による年金の未払い記録124万人分のうち65万人分について、同連合会が管理する紙台帳の住所記録情報がコンピュータに入力されていないことが明らかになった。これらの該当者には受給請求の書類が送付されないか送付回数が1回(通常は最大3回)だけとなっており、申請漏れにつながっているケースが数多くあるとみられる。