厚生労働省は、厚生年金と共済年金を一元化すると、厚生年金の将来の給付水準が改善するとする試算結果をまとめた。一元化により、2026年度の所得代替率(現役世代の平均所得に対する年金額を示す)は、当初試算の51.6%から0.2ポイント改善される見通し。
企業年金連合会(転職などで厚生年金基金を中途脱退したり会社の基金が解散したりした人の年金資産の運用・給付などを行っている)は、2006年度末時点で受給資格のある60歳以上の人(約400万人)のうち、約124万人に対して本来支払うべき年金を支給していないことを明らかにした。いずれも受給資格者が請求手続を行っていないことによるもので、総額は1,544億円に上るとみられる。
厚生労働省は、政府が2009年度までに目指している基礎年金の国庫負担の2分の1(現在は3分の1強)への引上げが同年度以降も実施できない場合、公的年金の財政は2049年に破綻するとする試算結果を発表した。政府は、消費税引上げや赤字国債の発行などによる財源確保を検討している。
社会保険庁は、同庁と市町村の職員による年金保険料や給付金の横領件数が、判明しただけで99件(うち市町村職員によるものは49件)あり、総額で約3億4,274万円(同2億77万円)に上るとする調査結果を明らかにした。舛添厚労相は、「きちんと調査した上でしかるべき対応を取りたい」と話した。
社会保険庁は、該当者が不定となっている「宙に浮いた年金」の記録が今年7月末時点で4,870万9,000件あり、昨年6月1日時点(5,095万1,000件)からわずか4.4%しか減っていないことを明らかにし、基礎年金番号への統合作業があまり進んでいないことがわかった。
「年金記録確認中央第三者委員会」は、領収書などの証拠がない人について、新たに11件の年金給付を認定し、これで認定件数は合計で44件となった。また、1件については記録の訂正を認めない決定を下した。不認定となった件数は合計3件目。
東京社会保険事務局は、都内の80代男性の約20年分(1986年12月分〜2007年5月分)の老齢基礎年金約2,474万円が未払いであったと発表した。男性が1990年に社会保険事務所に給付を請求した際に、配偶者加給年金に関して同事務所がいったん加算停止の手続きをしたが、その後も解除されていなかった。今年3月に判明し、7月に全額を支払った。
政府は、企業年金連合会が、転職などで厚生年金基金を中途脱退したり会社の基金が解散したりした人などを対象に2006年度に発送した45万2,000件の通知のうち、約19%に相当する8万5,000件が宛先不明で返却されていたことを明らかにした。通知が未到着の場合、年金請求手続をせずに年金を受給していない可能性が大きい。
年金支給の可否を判断する「年金記録第三者中央委員会」は、国民年金・厚生年金各1件について、本人の訴えを却下して給付を認めない初めての判断を下した。国民年金では、証拠で提出したメモの内容に不合理な点が多いとし、厚生年金では、勤務していたとする企業が厚生年金の適用事業所ではなく、納付の事実が確認できないとした。
社会保険庁は、同庁の研修施設などの保有資産を売却して年金記録の照合・通知作業などにかかる費用に充て、年金保険料や新たな財源は投入しない方針を示した。売却資産で2007年度の対策費をすべてまかない、2008年度以降も対策費の相当部分に充当したい考え。
厚生労働省は、2006年度の公的年金の収益額が4兆5,669億円、収益率は3.1%となり、2006年度末時点の積立金総額は149兆1,337億円(前年度末比0.6%減)となったと発表した。株価の上昇により積立金の運用は好調だったが、年金給付のための資金が増えたことが影響した。
社会保険庁は、企業が厚生年金基金に通知した加入者情報と基金が同庁に通知した情報の食い違いによる年金の支給漏れを防止するため、基金の年金保険料の納付記録と同庁で管理する記録との照合を2008年度中に実施する方針を示した。同庁は、基金が提出した被保険者のリストなどをもとに納付記録を確認し記録漏れがあった場合は訂正する。
基礎年金番号に統合されていない共済年金の納付記録約181万件のうち約7万6,000件が、年金受給権のある65歳以上の人の記録であることがわかった。内訳は、国家公務員共済約67万件のうち約3万件、地方公務員共済約68万件のうち約4万件、私学共済約46万件のうち約6,000件。
2006年度の国民年金保険料の納付率が66.3%(前年度比0.8ポイント低下)となり、4年ぶりに低下したことが社会保険庁の発表でわかった。2006年度の同庁の目標は74.5%で、目標未達成は3年連続。納付率は2003年から徐々に回復していたが、昨年5月に発覚した保険料不正免除などの不祥事が影響したものとみられる。
社会保険庁は2006年度の国民年金・厚生年金の収支決算を発表し、時価ベースで国民年金は279億円の赤字(前年度は4,023億円の黒字)、厚生年金は2兆8,103億円の黒字(前年度は8兆3,103億円の黒字)となったことがわかった。また、同年度の政府管掌健康保険は1,079億円の黒字(4年連続)だった。