社会保障審議会医療保険部会(厚生労働大臣の諮問機関)は、中小企業の従業員など約3,480万人が加入する「協会けんぽ」への支援策に関連して、2012年度末に期限を迎える特例措置(国の補助率の引上げ等)を2年間延長する方針を固めた。厚生労働省は、通常国会に関連法案を提出する予定。
厚生労働省は、傷病手当金にかかる加入企業の水増し請求が増えており、これを防止するため、全国健康保険協会(協会けんぽ)に行政上の調査権限を与える方針であることが明らかになった。健康保険法を改正し、早ければ来年度からが加入企業の立入調査を行えるようにするが、一方で、健康保険組合へは調査権限を与えないこととする方針である。現行制度では厚生労働大臣の委任を受けた日本年金機構にしか調査権限がない。
厚生労働省は、2013年度から70歳に到達する人に順次、2割の医療費負担を求める検討に入った。すでに70歳以上の人は1割のままとし、これまで70〜74歳医療費を1割としていた特例措置をやめる。消費増税を前に世代間の公平を求める内容だが、衆院解散・総選挙も絡み実現するかは不透明。
全国健康保険協会(協会けんぽ)は、来年度の保険料率(全国平均)が最大で10.1%となり、4年連続で引上げになるとの試算結果を発表した。2017年度には最大11.5%になる可能性があり、その場合の1人当たりの負担は今年度より年間で約2万7,000円増加する。
健康保険組合連合会は、2012年3月末時点で存在する健康保険組合の収支状況を発表し、2011年度の決算は3,489億円の赤字となったことがわかった。赤字は4年連続で、約4割の組合で保険料が引き上げられたにもかかわらず、支出が収入を上回った。
厚生労働省の調査で、「メタボリック症候群」の人の医療費が、そうでない人と比べて年額8万〜12万円も高いことがわかった。「非メタボ」の人との比較で、メタボの男性は40〜49歳の層で医療費が年約10万円高く、女性では70〜74歳の層で約9万円高かった。
厚生労働省は、2011年度における医療費(概算)が37.8兆円(前年度比3.1%増)となり、9年連続で過去最高を更新したと発表した。70歳以上の医療費(約17兆円)で全体の44.9%を占めており、同省では「医療技術の高度化により医療費が押し上げられた」と分析している。
[関連リンク]
平成23年度 医療費の動向
http://www.mhlw.go.jp/topics/medias/year/11/dl/iryouhi_data.pdf
2010年度における国民健康保険の1人あたりの医療費が、会社員や公務員健保の2倍になっていることが厚生労働省の調査でわかった。精神疾患で会社を辞めた人が国民健康保険に入り、医療費を押し上げたとみられる。同省は、入院初期の患者に対応する医師の数を増やし、早期退院につなげることで医療費を削減したい考え。
厚生労働省は、精神疾患(激しい症状)における医師の配置基準を「患者48人に1人」から一般病院並みの「患者16人に1人」に引き上げ、精神科への入院を「原則1年以内」とする方針を示した。また、精神保健福祉士などの専門職を置くことで患者の早期退院を促す。同省は、「来年度から取組みを始めたい」としている。
厚生労働省は、特定検診(メタボ検診)を普及させるため、「メタボ」や「予備軍」とされた人への保健指導実施率がゼロの健康保険(健保組合、協会けんぽ、国保等)に対して財政負担を増やす方針を明らかにした。金額は加入者1人あたり年110〜120円増となる見込みで、来年度から適用する。
政府が、2014年4月からの消費税引上げに伴い、年収210万〜300万円程度の世帯を対象に、高額医療費の自己負担の上限額を「月8万100円」から「4万4,400円」に引き下げる方向で調整していることがわかった。財源に消費税の一部を充てることで低所得者に還元し、消費税引上げへの理解を求めたい考え。
民主党は「後期高齢者医療制度」の内容を当面は維持していく方針を示し、「高齢者医療制度」と名称変更して実質的に存続させることを明らかにした。75歳以上の会社員(約33万人)を現行制度から勤務先の健康保険へ移すことが柱の「後期高齢者医療制度見直し法案」(仮称)について、今国会への提出を目指すとしている。
厚生労働省は、介護保険で今年4月から始まった24時間対応の「定期巡回・随時対応サービス」について、2012年度中に導入する市町村は全体の1割にとどまるとする集計結果を明らかにした。導入率が最も高かったのは大阪府(51%)で、東京都(32%)、神奈川県(30%)が続いている。
厚生労働省は、「社会保障・税の一体改革」を実行した場合、2025年度に65歳以上の人が支払う介護保険料は、全国平均で1人当たり月額8,200円(今年度比約3,200円増)程度に増加するとする推計結果を発表した。後期高齢者医療制度の保険料も上昇すると見込まれ、合わせて月額14,700円程度になる見通し。
健康保険組合連合会が2012年度の収支見通しを公表し、高齢者医療を支えるために負担する金額が3兆1,355億円(前年度比2,566億円増)となり、保険料収入に占める割合が過去最高の約46%に達することがわかった。全1,435組合の赤字額の累計は推計5,782億円で、5年連続の赤字。