柳沢伯夫厚生労働大臣は、対象者が不明となっている年金加入記録(約5,000万件)の照合を2008年5月までに完了させたい考えを示した。また、記録漏れのある加入者に対しては、2009年3月までに2段階で通知を行う方針も示した。
社会保険庁は、「年金時効撤廃特例法案」に基づく時効分の年金の支払いは、受給者による追加支給の申請に基づいて行う方針であることがわかった。法案成立後に具体的な支給方法が決定されるが、支払額通知の際に申請書を同封し、返送してもらう方式などが検討されている。
安倍首相は、年金納付記録漏れ問題について、該当者不明の納付記録の調査を1年以内に終え、領収書がない場合の支給漏れの有無を審査する第三者機関を6月中に設置する考えを示した。また、問題の原因究明や歴代社保庁長官の責任追及のための有識者委員会を、首相官邸主導で設置・運営する考えを示した。
年金時効撤廃特例法案(年金請求権の5年の時効を撤廃、時効以前の不足分も補償)と社会保険庁改革関連法案(2010年に社会保険庁解体、非公務員型の新法人設立)が、1日未明の衆議院本会議において与党の賛成多数で可決された。両法案とも今国会での成立は確実とみられる。
政府・与党は、社会保険庁が年金保険料の納付記録を紛失するなどして実際より少ない受給額しか受け取れない人が出ている「支給漏れ」の対応策として「時効年金救済法案(仮称)」を作成し、今通常国会または秋の臨時国会に提出する方針を示した。対象者がわからない納付記録のすべてを厚生労働省・社会保険庁が再調査し、支払不足が判明した場合は時効を適用しないなどとしている。
4月にスタートした年金分割制度の請求件数が1カ月で293件だったことが社会保険庁の調べでわかった。性別の内訳は、女性218件・男性75件だった。都道府県別では、上位から東京(36件)、大阪(27件)、神奈川(24件)、北海道・愛知(23件)。また、受給額を調べるためのデータ請求は3,116件、相談件数は1万1,957件で、前月から大幅に増加した。
2002年3月まで国民年金保険料の徴収業務を行っていた市区町村のうち、全体の15%にあたる284の自治体で納付記録が廃棄されていたことが、社会保険庁の調べでわかった。2002年4月から同庁に業務が移され保存義務がなくなったため廃棄したとみられるが、加入記録の再調査が困難な状況となった。
公的年金の加入データをまとめる際に重要な生年月日が不明となっている加入記録が30万件を超えることが、社会保険庁の調査でわかった。厚生年金で30万675件、国民年金で1,166件あった。生年月日がないと年金受給額に影響が出る可能性があり、同庁ではさらに詳細な調査を行うとしている。
2006年4月から2007年2月分までの国民年金保険料の納付率が65.5%となり、2006年度の目標値(74.5%)到達が困難となったことが、社会保険庁の発表でわかった。前年度同期よりも1.2ポイント低く、2005年度の納付率(67.1%。不正免除により水増しされた数値)を下回る可能性もある。
納付を証明する領収書や年金手帳を本人が保管しているにもかかわらず、該当する期間の国民年金納付記録が社会保険庁に残っていない人が55人いることが、同庁の調べでわかった。このうち12人はすでに年金を受給しており、本来受給できるよりも少ない額を受け取っていた。不足分はさかのぼって支給するとしているが、もらい損ねている人はさらに増える可能性がある。
税制適格年金が2012年3月に廃止されるのを控え、中小企業に対する確定拠出年金の営業を銀行大手が強化する。みずほ銀行と三井住友銀行がそれぞれ担当者を倍増し、三菱UFJフィナンシャルグループは生損保との連携を強化して導入をすすめる方針。
柳沢厚生労働大臣は、社会保険庁が6月に年金受給者に対して発送する年金額通知書に、保険料納付記録の再確認を促す文面を掲載する方針を示した。年金の支給漏れに伴う納付記録の訂正件数が、過去6年間で約22万人に上っていることに対する批判を受けたもの。
住所不明などを理由に、国民年金保険料の徴収対象者から除外されている「居所未登録者(不在者)」が、2006年度末時点で約69万人に上ることがわかった。社会保険庁では、納付率アップのため社会保険事務所が勝手に不在者登録されたものもあるとみて、住居確認などを含め全件調査する方針。不在者扱いとなった場合、保険料の督促対象からも外れ、保険料を支払わなかった場合は年金が支給されないか減額される。
公的年金資金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人は、現在は国内外の株式と債券で運用している公的年金資金について、不動産の証券化商品などによる運用を検討する方針を示した。運用先を多様化することにより運用利回りを安定させるのがねらいで、早ければ2010年度にも開始する。
厚生労働省は、日本に永住帰国した中国残留孤児について、基礎年金を満額支給する制度の導入を検討していることを明らかにした。現在、特例として保険料納付が免除された上で、基礎年金の満額の3分の1(2万2,000円)が支給されているが、免除期間の保険料を国が支払い、満額支給とする方針。5月に発足させる有識者会議でまとめる方針。