50歳代の85.5%が公的年金の支給額が老後の生活に十分足りるかどうか不安を感じていることが、厚生労働省が20〜59歳の現役世代を対象に行った調査(有効回答者数6,470人)でわかった。全体で最も多かった将来の不安要素は「公的年金が老後の生活に十分であるかどうか」(76.3%)で、次いで「医療や介護の負担増」(46.6%)だった。
厚生労働省は、国民年金の加入年齢を引き上げ、加入期間を40年としたまま20〜59歳から22〜61歳に移行する方向での検討を始めた。加入年齢の引上げにより、学生や保険料を負担する保護者の負担を軽減し、未納率が高い20歳台前半の納付率を上げるのが狙い。早ければ次期通常国会に国民年金法の改正案を提出したい考え。
厚生労働省は、2007年度の国民年金保険料を月額1万4,100円とすることを決定した。現在の月額1万3,860円から240円の引き上げとなる。2017年度まで毎年280円ずつ引き上げるのが原則だが、判断根拠となる2005年の消費者物価指数の変動率がマイナス0.3%だったため、上げ幅を40円縮小する。国民年金と厚生年金の支給額は今年度と同額になる見込み。
与党は、社会保険庁の新たな改革案で厚生労働大臣(実際には命令を受けた公法人)に移管するとされている保険料未納者に対する強制徴収権について、税と同時に徴収したほうが有利な場合などに限り、国税庁に委託できるようにする案を検討していることがわかった。政府は、与党の最終案を受けて来年の通常国会に新法案を提出する方針。
厚生労働省は、2010年をめどに厚生年金と共済年金を一元化し、公務員も厚生年金に加入させる方針を固めた。来年の通常国会に関連法案を提出する。当初の案だった条件面の統一にとどまらず、制度自体を統合することにより官民格差の是正を目指す。ただ、各共済組合の存続は認められ、保険料の徴収事務や積立金の独自運用を行う見通し。
年金加入記録の漏れが見つかったことなどが原因でなされた年金受給者の年金額や加入期間の訂正が、2005年度に3万3,925件あったことが社会保険庁の調査でわかった。年金額を確定する受給手続時のチェックでミスが生じていたことになるが、未払いと過払いそれぞれの件数は明らかにされていない。
社会保険庁が2004年3月から開始した年金記録の通知制度(58歳時点で加入記録を本人に通知)で、加入期間が異なるなどとして、今年9月末までに36万6,544人が再調査を請求したことがわかった。本人の届出ミスによるものもあるが、多くは同庁による手続きのミスが原因とみられる。
社会保険庁は、離婚時の厚生年金分割制度によって、相手からいくら分割されるかを通知するサービスを開始した10月2日から31日までの間に6,283件の相談があったと発表した。社会保険事務所の窓口や電話などで通知サービスを申し込んだ人は1,355人で、そのうち89%が女性だった。
社会保険庁が8月下旬から強化した年金記録相談に訪れた約15万人のうち、3,394人が、本人が主張する加入記録と同庁が保管する記録に不一致があるとして、記録に関する詳細な調査を申請していることがわかった。同庁によるミスが判明した場合は、記録の訂正に応じることもあるとしている。
社保庁が年金相談を強化した8月下旬からの1カ月の間に加入記録の確認を行った12万3,952件のうち、2万4,000件以上について記録にミスがあったことがわかった。保険料を納めたにもかかわらず加入記録に反映されていなかった「記録漏れ」のうち、半数は転職などで複数の年金手帳を持っている人のケースで、結婚で姓が変わったために反映されていなかったケースや漢字を読み間違えて記録されていたケースなどもあった。
政府は、保険料の納付記録や将来受け取れる見込額を、公的年金の加入者全員に年1回通知する「ねんきん定期便」の概要を示した。2008年度から本格的に制度をスタートさせ、20〜49歳には1.過去に支払った保険料の総額、2.通知時点での途中段階の年金額、3.年金を受け取れるようになる時期を知らせ、50歳以上には途中段階の年金額に加えて受給開始年齢に達した時点で受け取れる年金見込額も知らせる。
厚生労働省は、海外勤務者が年金保険料を二重に支払ったり、保険料が掛け捨てになったりすることを避けるために二国間で締結する社会保障協定(年金通算協定)の包括実施法案を、来年の通常国会に提出する方針を示した。従来は相手国ごとに法律を整備していたが、1つの法律で対応できるように変更して立法手続の負担を軽減し、より多くの国と交渉を進められるようにする。
社会保険庁は、社会保険事務所の職員が加入者に無断で免除手続を行うなどした国民年金保険料の不正免除問題で、不正に関わった職員を刑事告発しない方針を示した。違法性の認識がないまま上司の指示で不正を行った職員の刑事責任を追及するのは困難と判断したもの。同庁は、すでに約1,700人(本庁職員を含む)を処分し、25人を降任・降格とする処分を実施している。
2006年度上期(4〜9月)における企業年金の運用利回りがマイナス0.3%となったことが、格付投資情報センターの調査でわかった。調査は全国約130の企業年金基金や税制適格年金を対象に行ったもので、4〜8月の運用実績と9月の推定値から算出。4月から6月にかけて国内株式相場が低迷し、国内株式の運用利回りがマイナス6.3%となったことが影響した。
社会保険庁は2005年に実施した被保険者調査の結果を発表。国民年金の受給要件(25年以上の保険料納付)を知っている人は全体の76.2%で、3年前の前回調査より16ポイント上昇したことがわかった。職員による年金記録ののぞき見問題などの不祥事が認知度アップにつながったとみられる。不正免除問題が明らかになったのは調査後の5月だったため、低所得者向けの保険料免除制度の認知度は5.9ポイント上昇にとどまった。