厚生労働省は、財政難となっている厚生年金基金への対応策(改革案)を9月中に発表することを明らかにした。6月末に有識者会議がまとめた報告書をたたき台にして改革案を作成し、来年の通常国会に厚生年金保険法改正案を提出する見通し。
厚生労働省は、有識者会議において厚生年金基金制度の改革案をまとめ、財政が悪化した基金が解散する際の負担軽減策を明らかにした。また、赤字基金の解散時に加入企業が連帯して返済義務を負う制度をなくす方針も示した。同省では、今秋以降にOBに対する給付減額や基金の存廃についても議論する考え。
政府は、悪質な滞納者から国民年金保険料を強制徴収する業務を、日本年金機構から国税庁に移管する考えであることを明らかにした。移管時期は2015年前後の見通しで、徴収業務を国税庁に統合することにより保険料を集めやすくするねらい。
日本年金機構は、国民年金と厚生年金の加入者(約3,030万人)のうち、コンピューターの年金記録と原簿の紙台帳の内容が一致していない人が、約21万2,000人に上る可能性があることを明らかにした。記録の訂正により1人当たりの受給額は平均4,000円程度増えるものとみられるが、厚生労働省では全件照合するかどうかを今後検討する考え。
2011年度における国民年金保険料の納付率が、過去最低を更新する可能性が高いことがわかった。2011年4月〜2012年1月分の納付率は57.6%(前年同期比0.7ポイント減)で、3年連続で60%を割ることが濃厚。今後、厚生労働省は収納対策を強化する考え。
政府が、加入者の運用次第で給付額が変わる「確定拠出年金(日本版401k)」を拡充する方向で検討に入ったことがわかった。拠出可能上限額の引上げ、公務員や専業主婦を対象に加えることなどを検討する。約1,400兆円に上る家計の資産を運用させ、市場の活性化を図ることがねらい。
厚生労働省が「公的年金加入状況調査」(2010年時点)の結果を発表し、「過去3年程度の間に自分の年金記録を確認したことがある」という20歳以上の人は67.4%だったことがわかった。確認の手段としては約8割が「ねんきん定期便」などを活用していた。
〔関連リンク〕
平成22年 公的年金加入状況等調査
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/141-2.html
民主党の作業部会は、AIJ投資顧問による年金消失問題を受け、厚年保険料や公的資金による救済は行わないことや、基金制度の廃止を視野に入れた中間報告案を発表した。積立不足の中小企業に対しては公的融資による資金繰り支援を行う方針だが、基金からは反発が出ている。
厚生労働省は、AIJ投資顧問による年金消失問題を受け、再発防止のための運用体制強化や財政悪化問題への対応を検討する有識者会議を開催した。受給者の年金額を減額する要件の緩和や基金の代行割れへの対応などを検討課題に挙げた。同会議では、今年5月までに運用規制、6月までに財政問題への対策をまとめる方針。
政府は、共済年金を厚生年金に統合する「被用者年金一元化法案」を閣議決定した。統合時期は消費税10%を導入する2015年10月からとしている。両年金の保険料率を段階的に揃えることや、転給制度の廃止などが盛り込まれているが、共済年金の上乗せ給付(職域加算)に代わる制度の創設は先送りとなっている。
民主党の「歳入庁」創設に関するプロジェクトチームは、現在は日本年金機構が行っている年金に関する給付・加入手続・相談といった業務について、民間企業に委託できるようにする案をまとめた。なお、「歳入庁」創設の時期は、共通番号制度の導入が予定される2015年1月とされている。
政府は、2012年度における基礎年金の不足財源(約2.6兆円)を補うため、当初予定の「年金交付国債」の代わりに「年金債」を発行する検討に入った。年金債は、将来の消費税分で返済を行うもので、政府が規定している新規国債発行上限(44兆円)を守ることがねらい。
厚生労働省が、退職者が受給している企業年金の減額を認める要件の緩和を検討していることがわかった。現在、減額には受給者の「3分の2以上の同意」が必要とされているが、これを「過半数の同意」に下げる案が軸となっており、現役世代への過度の負担を防止することがねらい。また、基金解散要件の緩和も同時に検討されている。
厚生労働省は、運用悪化や現役世代の減少により、10年以内に積立金がなくなりかねない厚生年金基金が17あるとする調査結果を発表した。同省では、給付減額や掛金引上げなどを求めているが、民主党内では「限界がある」として、税金や厚生年金全体の掛金で補う案も出ている。
日本年金機構は、公的年金の記録を管理するために割り振られている基礎年金番号を、1人で複数持っている人が約20万人に上るとする推計結果を発表した。各番号の年金記録が結びつかない場合は実際よりも加入期間が短いと判断され、受給漏れが生じるおそれがあるため、同機構では照合作業を進めている。