厚生労働省は、「次世代育成支援対策推進法」に基づく仕事と子育ての両立支援に関する行動計画の提出義務を課す企業の規模を、現行の「従業員300人以上」から「従業員100人以上」とする方針を明らかにした、18日開会予定の通常国会に改正法案を提出の見込み。
自殺の原因が上司によるパワーハラスメントや超過勤務などにあるとして、両親が求めていた労災認定について、厚生労働省の労働保険審査会は、配置転換、1カ月当たり約85時間に及んだ長時間労働、連日の上司の厳しい叱責が強度のストレスになったと判断。労働基準監督署の不認定の決定を取り消し、自殺は業務に起因すると認定する裁決をした。
建設業で働く短期労働者らを対象とした勤労者退職金共済機構の「建設業退職金共済制度」で、約20万人分の退職金が未払いとなっている可能性が明らかになった。同機構は退職金の支払いについて申請主義をとっており、届出がなければ退職金が未払いなのかわからないが、数百億円の規模で未払いが発生している可能性もある。
マンションの住込み管理人だった夫婦が平日の朝晩や週末の賃金の支払いを求めた訴訟で、最高裁判所は「管理会社の指示を受けていたといえる」として、平日の早朝・深夜の残業代、土曜日の1人分の賃金、休日の実働時間の賃金について支払いを認める判断を示した。今後、同様の形式で勤務する住込み管理人の賃金算定に影響を与えるものとみられる。
厚生労働省が発表した2007年の高齢者雇用状況によると、2006年4月の改正高齢者雇用安定法の施行を受け、65歳以上の常用労働者は施行前の2005年比47%増の約39万人、60〜64歳は27%増の約100万人となった。同省では、同法についての対策が未実施の企業に対する指導をさらに進める方針。
内閣府は、65歳以上の高齢者に対する給付水準を維持すると2025年度には現役世代の1人当たりの負担額が現在よりも3割増となり、逆に、現役世代の負担水準を維持すると同年度には医療給付が2割強、介護は4割弱カットされるとする試算を明らかにした。今後、これらの試算をもとに社会保障と税のあり方について、経済財政諮問会議で議論を本格化する。
上司の暴言が自殺の引金になったとして労災認定を求めた訴訟の判決で、東京地裁は15日、暴言とうつ病発症・自殺との因果関係を認め、労災と認める判断を示した。パワハラによる自殺に労災を認めた判決は初めてで、パワハラを軽視してきた労働行政を是正した本判決には画期的意義があるとみられる。
厚生労働省は、政府が2011年度中の導入を目指す「社会保障カード」について概要を公表。同カードが、年金手帳・健康保険証・介護保険証などを統合したものになること、ICを搭載して自宅パソコンから年金記録やレセプトを閲覧することが可能になるものになること等を明らかにした。
加入義務があるにもかかわらず未加入のまま厚生年金保険料を支払っていない事業所が2007年3月末時点で9万7427事業所にのぼり、前年同期に比べ約1.5倍に増えていることが社会保険庁の調査でわかった。未加入だったが社保庁の説得に応じ加入した事業所数も1万883事業所あるが、新たに未加入と判明した事業所が増えたことで、未加入の全体数が増加した。
労働者派遣法で禁じられている警備業務に労働者を派遣していたとして、宮城県警は15日、大手人材派遣会社フルキャストと当時の営業担当社員を、同法違反(禁止業務派遣)の疑いで書類送検した。同県警によると、警備業務への派遣をめぐり派遣会社が摘発されるのは全国で初めて。
2006年社会生活基本調査結果(総務省統計局)によると、有業者の1日当たりの「仕事時間」は、5年前の前回調査と比べて男女とも増加し、男性7時間0分(12分増)、女性5時間0分(9分増)となった。過去20年間の推移をみると、男女とも一貫して減少が続いていたが、今回は増加に転じた。
2006年度に労働基準監督署からサービス残業について是正指導を受け、未払い残業代を100万円以上支払った企業は1,679社(前年度比約1割増)となり、年度ごとの調査を開始した2003年度以来最多となったことが厚生労働省の発表によりわかった。業種別では製造業(430社)、商業(421社)が上位を占め、未払い残業代の総額は約227億1,400万円(前年度比約5億8,000万円減)だった。
偽装請負に対する批判を受けて厚生労働省が指導を強化した2006年度において、3,477件の偽装請負関連の立入り調査を行っていたが、同年度に偽装請負関連で文書指導を行った件数は2,646件、指導率が76.1%に達することが同省の発表によりわかった。また、労働者派遣法違反に対する指導率も64.2%に上っており、規制緩和で労働者派遣が拡大したのに伴い、違法行為も横行しているものとみられる。
中小企業退職金共済制度が1959−2006年度に支払うべき退職金のうち、計49万2,251人分、約365億9,000万円の退職金が未払いとなっていることが明らかになった。同制度は、企業の掛金と国からの助成金を勤労者退職金共済機構が運用して退職者の請求に基づき退職金を支払う仕組み。未払い分の大半は本人が請求をし忘れたために発生したものとみられる。未払い分については5年で時効となるが、同機構は時効になった分の支払いにも応じる方針で、問合せ窓口を設けて対象者に申請を呼びかける。
厚生労働省の「毎月勤労統計調査」により、8月分の労働者の賃金の平均を示す現金給与総額は28万3,236円(前年同月比0.1%増)で、9カ月ぶりに増加に転じたことがわかった。基本給は0.1%減だったが、残業代が1.2%増となったことが影響した。