政府の経済財政諮問会議が開かれ、民間議員によりハローワークの無料職業紹介事業への市場化テスト導入が提案され、安部首相は、導入に向け具体策を検討するよう厚生労働省に指示した。同省は導入に反対しているが、政府は、民間開放によって事業の効率化による経費削減や就職率の向上を目指したい考え。
政府の経済財政諮問会議(労働市場改革専門調査会)は、労働市場改革の第1次案をまとめた。「労働時間の短縮」と「就業率の向上」について、10年後に実現すべき具体的数値目標を掲げ、年間実労働時間を約1割減らすこと、25〜44歳既婚女性の就業率を現在の57%から71%に引き上げることなどを打ち出した。
厚生労働省は、同省による国会に提出した資料のミス(採決前に「可決成立した」と明記した文書を配布)で、雇用保険料率の引下げを盛り込んだ改正雇用保険法案の可決・成立が先送りされた問題で、柳沢厚生労働大臣、武見敬三副大臣が、それぞれ大臣としての給与の2カ月分、副大臣としての給与1カ月分を自主返納すると発表した。また、辻哲夫事務次官ら幹部6人は、文書による厳重注意とした。
ハローワークで扱う求人のうち、年齢制限をしない「年齢不問求人」の割合が今年2月に50%となったことが、厚生労働省の調べでわかった。2004年3月時点では全体の18.3%だったが、改正高年齢者雇用安定法の施行により、年齢制限する場合には理由の明示が必要になったことが大きく影響したとみられる。
連合は、今春闘の労使交渉によるパートの時給引上げ額は、妥結109組合の平均で15.4円(前年同時期比2.6円増)となったと発表した。有給休暇の増加・福利厚生の見直しなど、労働条件の改善がなされた組合は82組合(同43増)、パートの待遇改善に取り組んだ組合は1,112組合(同307増)あった。
勤務先の会社内での飲み会からの帰宅途中に駅の階段で転落して死亡した会社員について、遺族補償などを不支給とした中央労働基準監督署の判断を不服として、妻が処分取り消しを求めていた訴訟で、東京地裁は、「酒類を伴う会合でも、男性にとっては懇親会と異なり、部下から意見や要望を聞く場で出席は業務」などとして、労災認定の判決を下した。
厚生労働省は、2006年賃金構造基本統計調査の結果を発表。非正社員(平均43.2歳、勤続5.8年)の平均月給(19万1,000円)は、正社員(平均40.6歳、勤続13.0年)の平均月給(31万8,800円)の6割程度であることがわかった。所定内給与は、正社員は前年から0.1%増加したが非正社員は0.2%減少した。
改正児童手当法が参議院本会議で可決・成立し、今年4月から、3歳未満の第1子、第2子への児童手当の支給額が1万円(現行は5,000円)に引き上げられることになった。年収制限があり、対象となる乳幼児は275万人程度の見込み。加算分の費用は、国(220億円)、地方(470億円)、事業主(680億円)がそれぞれ負担する。
松下電器産業は、約3万人を対象に、4月1日から在宅勤務制度を導入すると発表した。企画、営業、人事などホワイトカラーのほぼ全員を対象とし、申請のあった社員の勤務態度などに問題がなければ、原則として認めるとしている。平均週1〜2日の在宅勤務で、インターネット回線でやり取りを行う。
厚生労働省は、社会保険料を長期滞納している医療機関などに対し、2009年4月をめどに罰則を科す方針であることを発表した。強制徴収に該当する「滞納処分」を受けた後も3カ月以上滞納を続けた医療機関、薬局、介護事業者などが対象で、罰則の内容は、保険適用機関としての新規指定・更新を認めないことなどが検討されている。指定が外されると、病院の場合では、患者は健康保険が使えず全額自己負担になるなどの弊害が起こる。
キャノンは、グループ19社の製造部門で働く派遣労働者や請負労働者全体の約16%に相当する約3,500人を、2008年末までに正社員・契約社員などの直接雇用に切り替える方針を明らかにした。同社は、2003〜2005年に「偽装請負」で労働局から文書指導を計7件受けていた。
柳沢厚労相は、雇用保険法に関連する省令改正案を労働政策審議会(厚労相の諮問機関)に提示し、了承された。従業員の子育て支援に取り組む企業に対する公的支援拡充が主な内容で、仕事と育児の両立をしやすくした企業への助成金の創設や、託児所を設ける中小企業への助成金の増額など。4月から実施の予定。
市場化テストの第1弾とされた5分野9事業のうちの1つである「求人開拓事業」について、一部地域で応札・落札した民間企業が現れず、ハローワークが業務を行うことになったことが明らかになった。民間開放が予定されていた5地域のうち、「旭川市周辺」では応札企業はあったが落札できず、「高知市周辺」、「佐世保市周辺」の2地域では応札すらなかった。
2006年の転職者数が2年連続で増加して346万人(前年比6万人増)となり、2002年の調査開始以来過去最多となったことが、総務省の調べでわかった。景気の回復で、企業が即戦力となる人材の採用に積極的になったことが影響したとみられる。女性の転職者数が180万人(前年比6万人増)、男性の転職者数が166万人(前年比1万人増)だった。
今春卒業予定で就職を希望する大学生の就職内定率(2月1日時点)が3年連続で改善して87.7%(前年同期比1.9ポイント増)となったことが、厚生労働省と経済産業省の調査でわかった。1999年度に始まった両省による合同調査開始以来、過去最高の数字。